「持ち直し」の動き続く 4月の県内経済

和歌山財務事務所は、2024年4月判断の県内経済情勢報告を発表。総括判断は前回(1月)と同じ「持ち直している」に据え置いた。項目別の判断では、主要3項目のうち個人消費は据え置き、生産活動は下方修正、雇用情勢は上方修正となった。

情勢報告は、個人消費や設備投資など9項目の基調判断を総合して総括判断を行っている。

個人消費の判断は「持ち直している」。百貨店・スーパーは、温暖な気候で冬物の需要が低調だった衣料品で売り上げが減少している一方、飲食料品は堅調。コンビニエンスストアは、節約志向の高まりなどを受けて売り上げが減少している。ドラッグストアは価格上昇の影響や化粧品の売り上げ増加により堅調に推移。家電大型専門店は、前年の補助金の反動で、一部店舗でエアコンや冷蔵庫の売り上げが低調となっている。

生産活動は「持ち直しのテンポが緩やかになっている」。鉱工業生産指数でみると、石油・石炭製品工業や機械工業などの低下により全体の指数は低下。機械工業では、中国経済減退の影響が継続し、受注が低調との声がある。

雇用情勢は「緩やかに持ち直している」。24年2月の有効求人倍率(季節調整値)は前月より上昇し、新規求人数は、3カ月平均で増加傾向にある。

企業などの声では、「小売部門について、客数は前年と比べてほぼ横ばい、買い上げ点数は微減だが、値上げの影響で客単価が増加している」(農業関係団体)、「中国の内需が引き続き低調で、設備投資需要が回復していないことや、計画生産により生産稼働の平準化を図っていることから、前年同期比で生産量は減少している」(生産用機械)、「ホテルや旅館の全ての部屋を稼働できていない状況で、依然として厳しい。外国人労働者を積極的に受け入れる動きはあるが、人手不足の解消には至っていない」(観光関係団体)などがあった。

先行きについて和歌山財務事務所は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって持ち直していくことが期待されるとする一方、世界的な金融引き締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが景気を下押しするリスクとなっていると指摘。物価上昇、中東地域を巡る情勢、金融資本市場の変動などに十分注意する必要があり、さらに、能登半島地震の影響などに十分留意する必要があるとしている。

県内経済情勢の主要項目の判断(4月)

県内経済情勢の主要項目の判断(4月)