冷水地区の御輿復活へ 地元小学生が手作り

和歌山県海南市の冷水地区の冷水八幡神社で開かれる秋祭りに向けて、地元の子どもたちが神輿(みこし)作りに取り組んでいる。コロナ禍で2020年から中止していた神輿の曳行を復活させようと、7月中旬ごろの完成を目指している。

同神社では、春夏秋に豊漁や無病息災、豊作などを願い、祭りが執り行われている。毎年、7月の夏祭りでは、段ボールや模造紙などで手作りした神輿を子どもらが曳き、地区内を練り歩く風習があったが、コロナ禍で実施できずにいた。

同地区に26年住む、地域見守りボランティアの土井佐知子さん(61)は「地域に小学生は6人しかいない。子どもらに神輿を曳かせてあげるため、何とか神輿を復活させたい」「段ボールではなく、長く残る神輿を作りたい」と願っていた。

そんな中、2年前に同神社のウバメガシが強風で倒木。土井さんはこの木で神輿が作れないかと、同地区で空き家を改修して飲食店などを造り、地域を盛り上げる大工の伊藤智寿さんに相談。「やってみよう」ということになり、実現に向けて動き出した。

昨年は製材したウバメガシで土台を作った。ことしは屋根の装飾を施すことに。地域の小学生6人を中心に、大人も協力し、計12人で作業している。

装飾は、身の回りにあるものを生かしたいと、同地区の店舗で飲まれたビールの空のアルミ缶を使用。切って広げ、金づちでたたいて模様をつけていく。子どもたちは穴が開かないように注意しながら、均一な模様になるよう丁寧にトントンとたたいていった。

目標は120枚だといい、現在は80枚ほどが完成。中野悠吾さん(12)は「7枚くらい作った。腕が疲れるけど出来上がるのが楽しみでわくわくしている。早く引っ張りたい」と笑顔で話す。

服部心音さん(11)は「初めは神輿なんて作れるのだろうかと思っていたけど、自分らで作ると愛着が湧いてきた。完成まで頑張って作りたい」とにっこり。

土井さんは「来年は彫刻を施してみようかな。毎年少しずす装飾を追加していき、子どもたちの思い出になればうれしい」と話している。

たたいたアルミを屋根の装飾にする子どもたち

たたいたアルミを屋根の装飾にする子どもたち

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