木と水のまちづくり 建築系大学が提案へ

建築を学ぶ大学生らが新しいまちづくりの提案をするワークショップ(Inter University Workshop=IUW)の取り組みが6日から7日にかけて、和歌山市内で行われた。地域課題に「設計」で応えようとする試み。ことしは「木と水のまちづくり」をテーマに地域の未来を描き、11月に市内での発表やシンポジウムを予定している。

IUWは建築を学ぶ学生たちが大学の垣根を越えて学び合い、新たなまちづくりを提案しようと2021年に始まり、ことしで4年目。これまで愛媛県今治市や宮城県七ヶ浜町で実施してきた。和歌山市出身の建築家で、東京理科大学工学部教授の広谷純弘さんが幹事を務める。

参加しているのは、和歌山大▽足利大▽国士舘大▽千葉工業大▽東京藝術大大学院▽東京大大学院▽東京理科大工学部▽同大創域理工学部▽東北工業大――の9大学・学部。和歌山大学は今回が初めての参加となった。

6日には、実際にまちを歩いて調査するフィールドワークが行われ、大学生や大学教授ら約90人が参加。広谷教授や、和歌山大学システム工学部の平田隆行准教授らが、和歌山城の外堀としてつくられた市堀川沿いや京橋、ぶらくり丁、真田堀周辺を歩きながら、まちの特徴や成り立ちなどを説明した。

7日は、本町のフォルテワジマで、行政の担当者から地域の現状や課題を教わった。県森林整備課の森林づくり班長、大澤一岳さんは、世界や日本、県内の森林・木材生産についてや、紀州材の歴史を紹介。持続可能な森林利用のサイクルとして「計画的に伐り、計画的に育て、あらゆる場面で使うことが大切」と話した。

また、和歌山市都市再生課の西本千智班長は、民間の活力を生かした空き家再生やリノベーションによるまちづくりの成功事例などを紹介した。

東京理科大学工学部建築学科3年生社会人コースの名嘉地俊介さん(37)は「和歌山城ホールを訪ねて、地域の人たちが木を大切にしているのを感じた」、中山琴未さん(31)は「思った以上に水路と暮らしが近く、それも魅力だと思った。林業と水路の活用をつなげられる可能性があると感じた」と話していた。

兵庫県出身で、和歌山大学システム工学部4年生の廣岡潤哉さん(21)は「大学ごとに特色があるので、今回のような交流は刺激になる。和歌山には4年間住んで愛着もあるので、詳しく地元を知る自分たちだからこそできる提案をしたい」と意気込んでいた。

 

広谷教授から、荷揚げ場であった堀川の説明を聞く学生たち
広谷教授から、荷揚げ場であった堀川の説明を聞く学生たち