新車両「かなた」出発進行 めでたいでんしゃ

南海加太線の和歌山市駅と加太駅間を走る「めでたいでんしゃ」の新車両が13日に運行を開始し、和歌山市駅で出発セレモニーが行われた。新車両は、これまでの電車の「とお~い祖先」にあたり、過去、現在、未来を結ぶ始まりの電車として名前が「かなた」に決まった。同間を走るめでたいでんしゃは、「さち」「かい」「なな」「かしら」の全部で5列車となる。

「かなた」は、加太の名物、鯛を想起させる虹色のうろこ柄に、車内の床面には、県内で発見された「ワカヤマソウリュウ」と原寸の骨格図やアジサイのデザインなどが施されている。

ホームで行われたセレモニーには、新車両を一目見ようと400人以上が駆け付けた。

南海電気鉄道㈱鉄道事業本部の加賀至副本部長は「5編成目がデビューすることで列車のほとんどがめでたい電車となる。どうぞ電車に乗る楽しみを味わってほしい」とあいさつ。内装を監修した県立自然博物館の小原正顕学芸課長は「車内にはワカヤマソウリュウが描かれているのでじっくり見ていただけたら。自然博物館では本物の化石も展示してある。どちらも楽しんでほしい」と話した。

3番線に「かなた」が入線すると、歓声が上がり、多くの人がカメラを向けシャッターを切った。扉が開くと、なだれ込むように人が乗り込み、車内は満員になった。

除幕式で名前が発表され、車両の先頭にはヘッドマークが設置された。「かなた」は午前9時55分、和歌山市駅長の合図で加太へ向け出発した。

和歌山市内に住む竹本汐来(せら)さん(4)は、南海電車の列車が大好きだといい「試乗会にも行った。一番に乗れてうれしかった。何回も乗りたい」とにっこり。母親の早輝子さん(38)は「親子でデビューを心待ちにしていた。子どもの服を虹色の車両に合わせてきた。『かなた』の名前もかわいい」と笑顔で話した。

加太に向け出発する新車両の「かなた」

加太に向け出発する新車両の「かなた」