特殊詐欺防止へ ユタカ交通と和歌山東署が協定

協定書を手に永井署長㊧と豊田社長
協定書を手に永井署長㊧と豊田社長

バス・タクシー業のユタカ交通㈱(和歌山市中之島)と和歌山東署は12日、「特殊詐欺被害防止対策等に関する協定」を結んだ。タクシーの車内に特殊詐欺被害防止のポップを設置するなどし、共同で安全安心なまちづくりを目指す。

全国的に特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺が急増し、県内でも被害が増加傾向にある。警察単独の力では抑止が難しい現状にある中、地域のために何か協力したいと考えていた同社の思いが合致し、締結に至った。同社で実働している全36台のタクシーに「SNSで有名人を騙った投資詐欺急増中!!」などと書かれたポップを設置する。

増加している詐欺の手口を署員とタクシー運転手が共有し、運転手から乗客へ声かけなども行う。乗客に不審な会話などがあれば、運転手が署に報告する。

その他、行方不明者の捜索においても共同で取り組むとし、届け出人の許可を得られれば、同署は行方不明者の特徴などを同社と共有する。同社が県内の警察署と協定を結ぶのは初となった。

同署での締結式で、豊田英三代表取締役社長(55)と永井泰文署長(55)が協定書に署名した。

豊田社長は「特殊詐欺などでは青少年が巻き込まれる事例も多いと聞いている。安全安心で暮らしやすいまちになるように協力できれば」と話した。

永井署長は「少しでも安全で住み良いまちにするために、官民連携で特殊詐欺の防止などに取り組んでいきたい」とした。

県内ではことしに入り、8月末時点で、特殊詐欺、SNS型投資・ロマンス詐欺は計178件認知されており、被害額は計10億8693万円に及ぶ。同署管内では57件と県内の所轄署の中で最も多い認知数となっている。