鼻笛全国大会で新人賞 海南市の柳泰弘さん
鼻息を使って音を出す楽器「鼻笛」奏者が全国から集まり、演奏の技を競う「第8回鼻笛チャンピオンシップ」(同実行委員会主催)が9月22日、三重県四日市市で開かれ、初出場した和歌山県海南市の柳泰弘さん(69)が新人賞に輝いた。「受賞を聞いた瞬間『やったー』と思った。おそらく最高齢の新人賞ではないか」と受賞を喜んでいる。
柳さんはこれまで1人で鼻笛を楽しんでいたが、力試しをしたいと参加。同大会は10年前から開催され、ことしは北海道から九州大分までの35組約50人が出場した。プロの鼻笛奏者モスリンさん、中村純子さんが審査する中、出場者は独奏、別の楽器とのアンサンブルなどでステージに登場。柳さんはギターを弾きながら鼻笛でサイモン&ガーファンクルの「スカボロー・フェア」を演奏。リアルタイムに多重録音ができるルーパーという機材を使い、一人二重奏を披露し、そのチャレンジ精神が高く評価された。
鼻笛は上部にある二つの穴から鼻息を出し、下の穴から口に取り込み、音を出す。音階は口を開く大きさでつくる。耳で音を聞いて自分で音階を決めるところは、口笛に近いといわれている。
柳さんは約10年前、楽器店でプラスチック製の鼻笛に出合い、不思議な音に驚いたという。木製の音色も耳にし、素朴な響きと奥の深い演奏技術に魅了されていった。柳さんは現在約50個の鼻笛を所有。それぞれ音の高さや響きが違うため、一つずつ自分の鼻のサイズに合わせ、削ったり顔に固定できるよう、ひもを付けたりしてハンズフリーにするなど、アレンジしている。鼻笛は2オクターブから3オクターブぐらいまで出すことができ、ギターを弾きながら鼻笛を演奏するのが柳さんのスタイル。イベントなどで演奏すると「珍しい」と喜んでもらえるそうだ。
鼻笛の魅力が徐々に広まり、9月には紀美野町で鼻笛サークルが発足した。毎週1回、同町下佐々の元船場自動車ショールームに7人ほどが集まり、演奏を楽しんでいる。
初心者でも演奏しやすいため、初回からメロディーを吹ける人もいるという。「鼻笛は貸し出すので、何も持たずに気軽にチャレンジしてみませんか」と呼びかけている。
参加は無料。問い合わせは柳さん(メールcharango55@icloud.com)。