夏の観光客減少 南海トラフ臨時情報など影響

7、8月の2カ月間に県内7カ所の主要観光地を訪れた観光客数は、いずれも前年を下回り、総数で3・3%減の309万6300人となった。猛暑による影響の他、お盆の時期を直撃した南海トラフ地震臨時情報の発表、進路予想が困難で、日本列島への影響が長く続いた台風10号などが減少の要因となった。

和歌山県によると、調査したのは和歌山市、高野町、田辺市龍神村、同市本宮町、旧白浜町、那智勝浦町、旧串本町の7カ所。宿泊客は前年比3・9%減(コロナ禍前の2019年比9・9%減)の74万1100人、日帰り客は同3・1%減(同2・2%増)の235万5200人だった。

地域別でみると、総数の減少幅が最も大きかったのは旧白浜町。初めての南海トラフ地震臨時情報の発表により、集客が期待されていたお盆期間に海水浴場が閉鎖され、花火フェスタは中止となり、さらにその後の8月末に台風10号の影響を受けた。宿泊客の減少が特に大きく、前年比12%減。日帰り客は同3・4%減にとどまり、総数は同8・5%の減少となった。

旧串本町は、総数で同5・7%減少したが、宿泊客は同14・9%の増加。南海トラフ地震臨時情報などの影響はあったものの、観光客以外に工事関係者や宇宙産業関係者などのビジネス客が伸びていることが要因として考えられる。

登録20周年を迎えた世界遺産エリアでは、インバウンドの好調などにより総数が増加。田辺市本宮町は同9・4%増、那智勝浦町は同7・6%増だった。高野町も日帰り客は同10・7%増と大きく伸びたが、弘法大師空海の生誕1250年で日帰り参拝者が多かった昨年に比べ日帰り客は微減し、総数では0・8%増にとどまった。

田辺市龍神村は、宿泊客が減少したものの、日帰り客の増加により総数は同7・9%増。日高川のアユ釣り客が好調だったことや、南海トラフ地震臨時情報により紀南の海水浴場が閉鎖される中、川遊びを目的とする観光客が増えたことが入り込みを押し上げたとみられる。

和歌山市は、猛暑や南海トラフ地震臨時情報などの影響で伸び悩み、総数で同4・5%減少した。