未来スクール10年目 中学校と地元企業連携

接客などを体験する生徒たち
接客などを体験する生徒たち

地域で働く大人が「先生」となり、中学生に自身の職業観や和歌山で働く魅力を伝える「未来スクール」が、ことしも始まった。本年度は和歌山市内の8中学校、合計約1270人に授業を届ける。

県内に事業所を持つ約80社で構成する「未来スクール事務局」(山本理恵代表)が主催。自己肯定感が低いといわれる10代の子どもたちに、自分の将来について意欲的に考える機会にしてもらおうと、2014年に始まった。製造業やサービス業、公務員や医療関係者など、業種もさまざまな職業人が、講話と職業体験の2部構成で実施する。

このほど同市秋月の日進中学校で開かれた授業には、14社の社員らが「職業先生」として参加。2年生222人が、仕事のやりがいや今後の生き方などについて学んだ。

化学製造業のセイカ㈱(同市南汀丁)の講話では、谷口寿英さん(39)が、研究者になるために大事なこととして「世の中の当たり前のことに、なぜと思う習慣を身に付けること」と伝えた。

飲食サービス業、宿泊業の㈱信濃路(同市松島)の職業体験では、生徒たちは接客の方法を学んだ後、お客さん役と従業員役に分かれ、オーダーを取ったり配膳をしたりした。

同社の冷水康浩社長(50)は「接客をする中で、みんな笑顔で楽しんでくれて良かった。地域の未来を支えるのは子どもたち。授業をする中で和歌山はまだまだ良くなると感じた」と話した。

セイカの授業を受けた武田遥陽さん(13)は「同じ見た目の粉の種類を判別できるのがすごいなと思った」、信濃路で体験した坂口昌之(14)は「お客さんの気持ちに寄り添う大切さを学べて良かった」と話した。

山本代表は「子どもたちが真剣な眼差しで聞いてくれてうれしかった。一人ひとりが自分が主人公として、一歩踏み出すのを応援したい」と話した。本年度の実施予定校など詳しい情報は未来スクール公式ホームページ