南海トラフ地震に備え 石油コンビナート等訓練
南海トラフ地震に備え、和歌山県は15日、海南市藤白のENEOS和歌山石油精製㈱海南工場で各防災関係機関や関係事業所と連携した石油コンビナート等総合防災訓練を実施。18機関120人が参加し、連携を確認した。
石油コンビナート等災害防止法に基づき、同等防災計画を作成、石油やガスなどを扱う県内の化学工場や発電所などで訓練している。
参加機関は、同市や有田市、御坊市などの消防本部や自衛隊、日本製鉄㈱、花王㈱など。車両計24台が集まり、消火活動や救急搬送などが行われた。
訓練は、同日午前9時に地震が発生したとの想定で実施された。
震源地は県南方沖、震源の深さは約10㌔㍍、震源の規模はマグニチュード8・7と推定。海南市では震度6弱を観測し、津波警報が発表され、地震発生47分後には約6㍍の津波が到達。警報解除後、ENEOS和歌山石油精製の従業員が直径50㍍、高さ25㍍の大型タンクに送る配管から引火性の高いバイオ燃料ETBEが漏れ出していることを確認し報告。配管に土のうを積み、流出防止を試みるが、その間に余震が発生、作業員らが負傷し、余震の影響で大型タンクから同燃料が漏れ出し、火がついたという流れで行った。
海南市消防本部へ連絡後、関係消防機関の消防車や消防団車両が駆け付け、大型タンクの周囲に高所放水車などの車両8台以上が配備され、一斉放水で消火に当たった。自衛隊員は負傷者を運び出し、救急隊員、看護師へと医療班に引き継いだ。
終了後、和歌山北部臨海広域消防協議会の谷口佳生会長は「常日頃から防災意識を高め、万が一に備え実災害を想定した訓練を実施することが重要。今後も各関係機関の連携を深め、各種災害による被害を最小限にとどめてほしい」と講評した。
災害対策課の山本直幸主査は「火災が起きれば、住民にも被害がある。関係機関と連携し、訓練を積み重ねて構築を図っていきたい」と話した。