地域教育をテーマに 紀美野町でシンポジウム

質問に答える西村さん(奥)
質問に答える西村さん(奥)

地域の教育の可能性や、子育て世代が地域教育に求めるものを考えるシンポジウムが17日、和歌山県紀美野町下佐々の総合福祉センターで開かれた。和歌山大学食農総合研究教育センターときみの地域づくり学校運営協議会が主催。自治体職員、教育団体や関係者ら約100人が基調講演とパネルディスカッションで理解を深めた。

農山村における、なりわい創業を学ぶ「きみの地域づくり学校」(同協議会主催)の学びの一環で実施。

講演では、NPO法人智頭の森こそだち舎理事長の西村早栄子さん(52)が「森が僕らのようちえん~地域資源を活かした人づくり」を題目に、西村さんが立ち上げた「森のようちえん」の特徴や開園までの経緯と後の推移、行政支援などを話した。

西村さんは現在、中学生以上となる3児の母。30代で鳥取県八頭町に移住し、わが子をたくましく育てたいと「森のようちえん」を開園。園舎はなく、園児らは森の中の川や林、岩場などがある数カ所のフィールドを拠点に過ごしている。たくましい体としなやかな心を育み、自立性やコミュニケーション力が身に付くなど、都会では味わえない教育ができていることを紹介し、「田舎でどういった教育が受けられるかは移住のポイント、教育の選択肢が増えれば移住者も増える」と話した。

参加者からは、森の所有者との関わり方や悪天候時はどうしているのかなどの質問もあり、西村さんは「警報が出ていなければ雨でも雪でも登園します」と答えた。参加した60代女性は「私たちが小さい頃は森でよく遊んだので、話を聞いて『うんうん』と納得した。紀美野町も森林が多いので参考になった」と話した。

第2部では、西村さんや紀美野町のりら高校の山上範子校長ら5人による、教育移住に念頭を置いたパネルディスカッションも行われ、子育て世代が今求めるものや地域の教育の可能性を探った。