新鋭の国産レモン「璃の香」
前号では、果汁がたっぷりで酸味よりも甘味が先行する「マイヤーレモン」を取り上げた。
全国3位のレモンの生産地である和歌山県。レモン栽培は他の品種でも。今週は2015年から栽培が始まった「瑠の香(りのか)」を紹介したい。
瑠の香は、ポルトガルが原産の「リスボン」に、柚子の変異種とされる「日向夏」を交配して生まれた品種。登録上はカンキツ属の交雑種であるが、外観や利用用途がレモンに近いため、レモンの新品種として普及が進んでいる。
果実のサイズは200㌘程度と大きめ。親品種のリスボンの約1・3倍とされる。外皮が薄く、種が少ない。果肉の割合が約8割と実がしっかりと詰まっており、果汁が豊富。
食してみるとマイヤーレモンほどの甘味は無く、レモンらしい適度な苦味を感じる程度でまろやかな味わい。香りは日向夏との交配種とあって、レモンの香りは控えめで、春柑橘のような香りがする。皮ごと調理でき、マーマレードなどの加工品として利用されることも多い。
璃の香の強みは、レモンに多い病気である「かいよう病」の発病割合が一般的なレモンよりも低いこと。一般的に約半数といわれる発病割合が、璃の香の場合は2割以下と耐性に優れた品種である。
黄色に熟した果実の収穫期は11月下旬頃から始まる。農水省統計(2021年)によると、主な生産地は静岡県で収穫量は6㌧程度。昨今は各地に栽培が広がっており、筆者は有田川町で栽培されたものを購入した。
香川県では、ブランド化を目的に県内で栽培されるレモンに「さぬき讃レモン」の愛称を付ける取り組みを開始。璃の香もその一つとされ、今後の栽培拡大を期待されている。
旬を迎えているレモン。ぜひ、県内産のフレッシュな味わいを楽しんでほしい。(次田尚弘/和歌山市)