外出のきっかけに 「乗ってって海南」が移動支援

買い物が終わり談笑する利用者
買い物が終わり談笑する利用者

和歌山県海南市の外出支援ボランティア「乗ってって海南」(尾﨑伸治代表)は、高齢者や障害者らの外出が困難な人を支援しようと、月2回ほど、それぞれの自宅から紀の川市貴志川町のスーパー「マツゲン貴志川店」までの買い物便を運行している。

「乗ってって海南」は、海南市社会福祉協議会に登録する有志が集まったボランティアグループ。ことし5月に発足し、高齢者や妊婦ら、移動に課題のある人を支援する他、外出を促して社会参加や生きがいづくりを目指している。 

市内各地域の住民から「歩いて行ける距離に店がない」「(海南市社会福祉協議会が開く)いきいきサロンに行きたい」など、移動に関する悩みの声を受け、活動することを決めた。同協議会主催の移動支援ボランティア運転者講習会に参加するなどして、北野上地域をモデルに、来年の3月末まで試験的に実施している。

自分の身の回りのことができる人を対象に、ボランティアメンバーが自家用車や協力施設の車で利用者の自宅や指定の場所まで車で迎えに行き、買い物や通いの場への外出を支援。特別養護老人ホーム天美苑(海南市七山)が車両貸与するなど、地域の協力を得て実施している。

5日には、2台の車で15分ほどの距離にあるマツゲンへ。七山地区に住む70、80代の女性5人が利用し、スーパーや100円ショップなどを回り、買い物を楽しんだ。

買い物後は、互いに近況報告や世間話に花を咲かせ、初めて利用した志場照代さん(82)は「数日分の食材を買った。店を回り、みんなと会話ができて楽しい。また利用したい」と笑顔だった。

ドライバーを担当した、乗ってって海南の寺本和永副代表は「車内でも楽しそうに会話している。笑顔を見るとこっちもうれしい。外出するきっかけになり、地域のコミュニティーが広がれば」と話した。

同協議会地域福祉係の村木理恵係長は「車両を貸与していただき、公民館にも協力してもらい、地域の皆さんの支援に感謝したい」と話す。

今後はアンケートなどを参考に課題を検証しながら、地域や行き先の拡大などを視野に活動を続けていくという。