双子で傘寿 海南の下津有一さん・修三さん

共に通った海南市立第二中学校(現海南中学校)で、有一さん㊧、修三さん
共に通った海南市立第二中学校(現海南中学校)で、有一さん㊧、修三さん

和歌山県海南市日方の双子の兄弟、下津有一さん、修三さんが2人そろって傘寿(80歳)の節目を迎えた。生まれた瞬間から多くの時間を共有し、互いに特別な存在。それぞれに生き生きと趣味を楽しむ2人は「2人いたから、大変なことも半分になった。これからも一日一日を大切に年齢を重ねていきたい」と笑顔で話している。

兄の有一さんは現役スイマー。海南二中で水泳を始め、高校時代はインターハイに出場。住友金属工業(当時)の水泳部に所属し、実業団の大会に40年間連続出場を果たすなど活躍。種目は主に個人メドレーとバタフライで、世界マスターズや日本マスターズへの出場を重ねてきた。

ことしは大会に7回出場。中学2年生から、これまでの大会出場回数は556回を数える。7月には、水泳のメッカともいえる東京アクアティクスセンターで開かれた「第39回日本マスターズ」に出場。東京オリンピック会場にもなった憧れのプールで泳げた感動は大きかったという。 

弟の修三さんは歴史好きで、お城巡りが趣味。日本城郭協会が選定する「日本100名城」「続日本100名城」を〝完全登城〟。また、全国の戦跡や資料館を訪ねる慰霊の旅を続けている。

個人でプランを立てたり、旅行会社のツアーで訪れたり。その地域の歴史を学びながら、人との出会い、観光や食を楽しむ。

そんな兄弟の絆を一層強くしたのは、母親が倒れてから4年間、共に介護をしたこと。「大変だったが、2人だったから乗り越えられた」と有一さんは、しみじみと振り返る。

父親が水練学校で指導していたこともあり、泳ぎが得意なのは共通。21歳・22歳と連続で、国体に2人そろって水泳で出場したことは特に思い出深いという。

一時期は勤務先が同じだったこともあり、容姿がよく似ていることから、お客さんから間違われることもしばしば。今は徒歩1分圏内の所でそれぞれ単身で暮らしており、ほとんど毎日、有一さんの家で一緒に夕食をとる。料理は、曜日によって当番制。80歳の誕生日は少し特別に、赤飯を買って2人で祝った。

有一さんは、来年9月に北海道である日本マスターズを目標にし「タイムも落ちてきたけれど、自分より年配の人もいて刺激になる。健康である限り続けたい」と話す。

来年は日本の終戦から80年を迎える。修三さんは平和の尊さを感じながら各地への旅行を続けたいといい「先のことは分からんけど、元気なうちは楽しめれば」と笑顔で話している。