チョウの採集に夢中 岩出第二中の白石さん

標本を作る白石さん
標本を作る白石さん

羽の形、色、模様が奇麗で捕まえた時の喜びは格別――。岩出第二中学校2年の白石凱都(かいと)さん(14)はチョウの採集と標本制作に励んでおり、その数は70種以上、計520匹を超える。現在は日々採集に出かけ、展示やSNSを通して魅力を発信するとともに、飛び方や行動など生態についての学習も深めている。将来は「チョウを専門とする学者になりたい」と目を輝かせる。

小学1年の頃から昆虫が好きだった。自宅付近でバッタやカブトムシなどさまざまな虫を捕り、飼育する中、5年の時に「きみのちょうちょ研究所」(紀美野町)の猪狩元気所長の展示で「チョウってすごく奇麗でいい。自分も集めたい」と魅せられた。

以来、自転車でチョウを探しに行くようになり、中学1年の時の文化祭で初めて標本を展示。「和歌山県の身近な蝶の標本展示」と題し、33種、約100匹を披露した。友人から「すごく奇麗だね」などと称賛され、「伝わってすごくうれしかった」と話す。

それ以後、より熱中した。チョウが多く飛ぶ3~10月には週5日程度、根来山げんきの森(岩出市根来)や史跡紀伊国分寺跡歴史公園(紀の川市東国分)などへ自転車で出かけ、魚用のタモを改良した最長8㍍に伸びる網で採集。初展示から現在までのおよそ1年2カ月間で400匹以上を捕まえた。採集したチョウは全てをその場でしめ、三角紙に包んで持ち帰り、標本にしている。冬には幼虫や卵を捕り、飼育する。

採集を始めた当初はキタテハ、モンシロチョウ、クロコノマチョウなど身近に多く生息するものが中心だったが、コツバメなど珍しい種も徐々に捕まえるようになった。現在では光を当てると羽が緑に輝くミドリシジミや、1万に1匹程度といわれ、紋が消えたり伸びたりする個体変異したものを探すなど、奇麗なものや珍しいものに特に興味がある。捕まえた時には大声を出し、飛び跳ねて喜ぶこともあるという。

県内の分布調べたい 活動発信も積極的に

展示の機会も増え、きみの自然体験館や「イワディアンサミット」などでも披露した。昨年は「わかやまネイチャー・アワード」と「第77回和歌山県科学作品展示会」で、根来山げんきの森で採集したオオムラサキの幼虫を飼育し羽化させた観察記録が入選した。

「多くの人に活動を知ってほしい。専門的な人とも出会いたい」との思いから、インスタグラムやX(旧ツイッター)などのSNSで、捕まえたチョウや採集の様子などを公開している。発信を通して知り合った仲間と共に大阪府や奈良県など県外へ採集に出かけることもある。

生態についてインターネットや図鑑などで学習も深めており、昨年からは岩出市内のチョウの生態を調べ始めた。「今後は論文も書き、専門的に学べる大学に進学したい」と意欲的だ。「いろんなチョウがいて、その一つひとつに魅力があって、奥が深い。ハマり出したら止まらない」と言う。2011年には日高町を飛び立った個体が約2500㌔離れた香港で発見された記録のあるアサギマダラなどにも興味を持ち「面白い生態がいることも知ってほしい」と話す。

「チョウには人生を変えられた」と笑顔。和歌山の分布についてはいまだに分かっていないことが多いことから、「自分の手で調べたい」と、今後は未知の領域へも羽を広げる。

白石さんのインスタグラムはこちらから。

520匹を超える標本
520匹を超える標本