戦争の不条理描く 演劇大学が城ホールで公演

移動演劇団と村人の交流を描く
移動演劇団と村人の交流を描く

和歌山演劇大学は、太平洋戦争末期、地方を回る移動演劇団と村人の交流を描いた舞台「裸電球に一番近い夏」を31日と2月1日、同市七番丁の和歌山城ホール大ホールで上演する。

和歌山演劇大学は和歌山の演劇文化レベル向上を目的に2007年にスタート。演技の基礎、発声方法などをプロの講師から直接指導を受け、成果発表の場として公演を行っている。

参加しているのは中学生や大学生、社会人ら14~77歳の33人。

今回は戦後80年、戦争とは何だったのかを問いかけたいと、日本の戦争を舞台化してきた劇団チョコレートケーキ所属の劇作家・古川健の同作を9年ぶりに再演。演出は文学座の加納朋之さんと青年劇場の佐藤尚子さん。

物語は1943年8月、国の要請を受け戦意高揚のために全国各地で劇を上演して回っていた移動演劇団こだま隊が、とある山村にやって来た。重苦しい戦争の空気の中、村の人々は初めて見る芝居に感動。「来年も再来年も、この村に来てください」。そんな約束をし、村人は劇団が来るのを心待ちにする。そして3年目の夏、8月が訪れる――。

無辜(むこ)の民を否応もなく巻き込んでいく戦争の不条理を、幅広い世代の役者が演じる。

村人役を演じる栗生真奈さん(27)は今回が初舞台。「練習では緊張して手が震えていたけど皆さん温かく、一緒に一つのものをつくっていくのは楽しい」と笑顔。

移動劇団の座長を演じる今西勇さん(77)は「戦争が終わり、劇団を続けるか解散するか藤する場面で、劇団員との激しいやり取りが見せ場」と稽古に励む。

演出の佐藤さんは「戦意高揚のための芝居を強いられ、戦争に協力せざるを得なかった演劇人のつらさ、苦しさと戦争責任、そして平和の大切さを感じてもらいたい」と話している。

公演は31日は午後7時から、1日は1時から。

料金は前売り一般1000円、小・中・高生500円(当日200円増)。未就学児無料(鑑賞は多目的席か出入り口ドア付近)。

チケットの予約、問い合わせは和歌山城ホール(℡073・432・1212)。