過去最大の353億円 紀の川市25年度予算案

紀の川市は18日、2025年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度比7・0%増の353億4000万円、特別会計と公営企業会計を含めた総額は4・0%増の581億1170万3000円で、いずれも過去最大。05年に那賀郡5町の合併により市が誕生して20周年の節目を迎えるにあたり、「20年の歩みを土台に、次のステージへの一歩を踏み出すための予算」と位置づけている。20日開会の定例市議会に提案する。

人件費や扶助費などの義務的経費が増大する中、普通建設事業費などの投資的経費も増やした積極的な予算で、市役所で記者会見した岸本健市長は「これまでの20年間で築いた成果や発展の基盤をしっかりと受け継ぎながら、持続可能なまちづくりをしていきたい」と述べた。

新年度の事業では三つの重点分野を設定。「合併20周年記念」では、市への愛着や誇りを育み、次世代に夢や希望を感じてもらう取り組みを推進する。「物価高騰対策」では、国の交付金を活用し、市民生活や事業者の経済活動を守る事業を進める。3点目は、「呼び込む」「稼ぐ」「育む」「未来をつくる」の重点プロジェクトを中心に、人口6万人の回復、将来の市の成長につなげる事業に取り組むとしている。

一般会計歳入

市税などの自主財源が占める割合は33・7%(前年度34・4%)。市税は、定額減税の終了により個人市民税が3億350万円(13・3%)増加し、固定資産税が家屋の新増築の増加などで4・0%増加したことなどにより、全体で6・2%増の70億5852万5000円。

依存財源では、児童手当負担金や社会資本整備総合交付金の増加などで、国庫支出金が35・9%の大幅増の51億3854万4000円。市債発行額は、市営住宅整備事業債の増加などで5・1%増の30億9250万円となっている。

収支不足に対応する財政調整基金などの取り崩しは25億8100万円で、25年度末の基金残高は113億722万8000円を見込む。

一般会計歳出

義務的経費が44・6%(前年度44・4%)を占め、うち人件費は7・9%増の56億820万9000円。扶助費は、児童手当や障害福祉サービス給付の増加などにより9・6%増の72億4176万9000円。市債の返済などに充てる公債費は1・9%増の29億1960万6000円となっている。

投資的経費は17・1%増の54億951万7000円。普通建設事業費の増加が主要因で、耐震基準を満たさない市営住宅の建て替え費、市立田中小学校の改築事業費の増加などにより13・7%増の51億9125万円を計上している。

特別会計・公営企業会計

特別会計は、国民健康保険事業や介護保険事業など6会計合わせて0・5%減の173億2240万円。水道、工業用水道、下水道の公営企業会計は0・1%増の54億4930万3000円。

新年度の主要施策を説明する岸本市長
新年度の主要施策を説明する岸本市長