最高の一杯を 現代の名工にバーテンダー平野さん

記念の盾を前に笑顔の平野さん
記念の盾を前に笑顔の平野さん

極めて優れた技能を有する人を表彰する2024年度「卓越した技能者(現代の名工)」の厚生労働大臣表彰に、和歌山市楠右衛門小路の「バー・テンダー」マスター、平野祐(たすく)さん(58)が選ばれた。店を構えて31年の平野さんは「これまでバーテンダーの受賞は大都市の店がほとんどだったけど、和歌山で受賞できたことは他のバーテンダーの励みになると思う」と笑顔で話している。

平野さんが評価されたのは、お酒だけでなくシロップやハーブなどの特徴を瞬時に見分け、シェーキングの技法を巧みに操ることで温度を下げつつ、おいしさのピークを判断する技能に極めて優れていること。

店で人気のカクテルは、県産のレモンを使ったスピリッツレモネード、自家栽培のハーブを入れたモヒート、アイルランドのウイスキーに熱いコーヒー、生クリームなどを混ぜたアイリッシュコーヒー。

材料によってシェークする回数や強さを変え、シェーカーから手に伝わる感覚と音で最高のタイミングを判断する。

「自分の作ったもので『おいしい』、『おかわりちょうだい』と言ってもらえるのが最高にうれしい」という。

客の好みの味にこだわり、「甘いカクテルください」というオーダーに対しては、「初めて来た人の好きな甘さが分からないので、話したり、飲んでいる顔を見ながら微調整していく」という。

「医者が問診して薬を出すのと同じ」とにこやかに話す平野さん。
 バーテンダーを始めたのは今から36年前、22歳の時だった。父がバーを経営していた平野さんにとって、バーテンダーは身近な職業だった。昼間は自動車部品を扱う会社で働き、夜はバーでアルバイトしている時、師匠である早川惠一さんと出会った。後に日本バーテンダー協会の会長を務め、2022年に黄綬褒章を受章した人物。平野さんは「もっとおいしいカクテルを作りたい」と早川さんの店があった大阪の北新地に通い学んだ。

28歳でオープンした店は昨年に30周年を迎えた。「カクテルを出す店とバーテンダーがもっと増えて、バーを楽しむ文化がもっと広がってほしい」と願う。「行ったことがない人にとってバーは入りづらいイメージがあるかもしれないが、現実を忘れられる大人の社交場。ぜひ一度ドアを開けてほしい」と笑顔で話している。

店は午後9時から午前2時まで。日曜定休。

問い合わせは同店(℡073・427・3157)。