「レスポンシブル・ツーリズム」の取り組み

ホテルで提供される「マイボトル」
ホテルで提供される「マイボトル」

前号より、ハワイ州独自のSDGs「アロハ・プラス・チャレンジ」を取り上げている。責任ある観光を意味する「レスポンシブル・ツーリズム」の具体的な取り組みを紹介したい。

持続可能な観光を意味する「サステナブル・ツーリズム」については、和歌山市においても数年前から観光協会と事業者が協力した取り組みを行い、筆者も携わってきた。サステナブル・ツーリズムは環境保護や地域経済の維持を重視し、オーバーツーリズム対策、宿泊施設が提供するアメニティに使われる材料や提供方法の見直し、地域の食材を使った地産地消の促進などが一般的。一方でレスポンシブル・ツーリズムは、観光客自身がその地域でどのように行動すべきか、個人の責任ある行動を促し意識させることを重視する。

ワイキキエリアの一部ホテルでは宿泊者にマイボトルを提供。共用部に浄水された水を自由に入れることができるコーナーがあり、外出の際もここで水を入れ持ち歩くことを推奨。マイボトルは記念に持って帰ることができる。

他にも宿泊者限定のワークショップとして、地域の花を使った首飾りの「レイ」作りや、ウクレレの演奏体験、ビーチクリーンなどを催している。これまでは旅の思い出作りのサービスの一つであったかもしれないが、地域特有の文化がなぜできて現代まで継承されているかを知り、理解することでその地域への敬意や愛着が生まれ、おのずと観光客の行動の変化やリピートにつながっていく。

地域の人々には観光客に情報を分かりやすく伝え、観光客はそれを積極的に受け取り意識的に行動する。そこには互いの共感や思いやりが重要。おもてなしを超えた観光客とのコミュニケーションが求められている。(次田尚弘/ホノルル)