智弁、7年ぶり決勝へ きょう横浜と対戦

第97回選抜高校野球大会は28日に阪神甲子園球場で準決勝が行われ、智弁和歌山が浦和実(埼玉)を5―0で下し、2018年以来7年ぶりの決勝進出を果たした。決勝は30日、昨秋の明治神宮大会王者・横浜(神奈川)と対戦。1994年以来31年ぶり2度目の春の頂点を目指す。
【準決勝】
浦和実 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
智弁和歌山 | 2 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | × | 5 |
〔浦〕石戸―野本〔智〕渡邉、宮口―山田▽二塁打=三島(浦)藤田、山下、山田(智)
中谷仁監督は、これまで18回連続無失点の変則左腕・石戸颯汰を「うちが最も苦手とするタイプの左の軟投派」と警戒していたが、4番打者・福元聖矢がその不安を初回で払拭した。1死二、三塁の好機に打席に立ったのは「ここで打ってほしいというときに打つのが4番。まだまだ爆発が足りていない」と準々決勝後に悔しそうに話した福元。「言葉では言い表せないようなプレッシャーを常に感じている」と言う名門の4番は、高めの直球を鋭く捉え、右前へのライナーで先制点をもたらした。さらに、2死二塁で荒井優聖がライトへタイムリーヒットを放ち、福元が生還して追加点。3回には荒井のレフトへの犠牲フライと相手の失策で計3点を加え、5―0とした。
この日4安打をマークした福元は笑顔を見せたものの、「まだまだ爆発、足りないです」と目標は高い。決勝戦でも「チームの勝利につながるバッティングをする」と力を込める。中谷監督も「次もお願いしたい」と目を細めた。
渡邉颯人と宮口龍斗が盤石の継投を見せた。宮口によると、2人は「一番仲良くて一番話す関係」という。「ピンチでもどんな場面でもぶれずにピッチングができていること」が成長と言う渡邉は、5回3安打無失点の好投。宮口も6回から登板し、7回1死二、三塁のピンチを「バッター抑えたろと。後ろを信じて全力で投げた」と気迫の投球で切り抜け、4回無失点と試合を締めた。「自分のピッチングがまだまだできていない。決勝ではもっとチームを勝たせられる投球をする」と意気込んだ。
主将の山田希翔は「多くの人が注目してくれている。たくさんの人にいい思いをしてもらいたい。『智弁ファミリー』のみんなで日本一を取りたい」と優勝を見据えた。
中谷監督はプロ野球出身者として初、選手優勝と監督春夏優勝が懸かる一戦になる。ノーサイン野球や変則左腕など、「どういう相手が来ても、子どもたちが自分たちの野球を徹底しようとしているのがうまくはまっている」と評価。報道陣に東西の横綱対決について問われると、「僕らはまだ発展途上のチーム。本音を言えば『ぶつかっていきたい』。どれだけ食い下がれるか、子どもたちがどんな結果を見せてくれるのか楽しみ」と頂点を見据え、「市和歌山の借りを返したい」と、初戦で横浜に2―4と惜敗した同胞の思いも背負った。