花見の名所にぎわう 雨山の郷でさくらまつり

桜の名所として知られる和歌山県紀美野町井堰の茶屋、雨山の郷で3月29日、「さくらまつり」が始まった。道路沿いには3分咲きほどの樹齢約40年の約300本のソメイヨシノやしだれ桜が並び、開花を待ちわびた人らが朝から駆けつけた。
さくらまつりは、地域を盛り上げようと地元の有志で構成される雨山の郷プロジェクト(岡博誠会長)が主催。桜の花と地元名物グルメが楽しめ、ことしで12年目を迎えた。
敷地内に出店が並び、地元のヨモギを混ぜた名物の「よもぎ餅」や、同地域周辺や紀南の一部にしかない多年草、縮砂(しゅくしゃ)の葉で包んだ香り高い「縮砂寿司」など、ここでしか味わえない名物が楽しめる。
同プロジェクトメンバーらは、地元名物をたくさの人に味わってもらいたいと、米9升、餅約1000個を早朝から作った。出来上がる度に即完売になり、一日中懸命に作り続けていた。30日に和歌山市から来場した津村英子さん(84)は、昨年亡くなった夫との思い出の味である縮砂寿司を買いに来たといい「主人と週末は茶屋で縮砂寿司を一緒に食べ、春には桜を楽しんだ。また来ることができてうれしい」と笑顔だった。
茶屋では猪肉うどんや串こんにゃく、山菜の炊き込みご飯など地元食材を使ったメニューを提供(縮砂寿司は土・日のみ)。出店や茶屋はさくらまつりの期間中楽しめる。
沿道では訪れた人らが、桜の写真を撮ったり見上げたりと、桜並木を歩きながら過ごした。紀の川市から来た家族は、「車のヘッドライトに浮かぶ夜桜もきれい、桜吹雪も一面ピンクになり見とれるほど。期間中また来たい」と話した。岡会長は「年々お客さんが増えてきてありがたい。長く継続していきたい。地元の名物を味わってほしい」と話している。
6日まで(桜の開花状況で変更あり)。午前10時~午後4時。