幸せを呼ぶ海の守り神「ホヌ」

ワイキキの海を泳ぐ「ホヌ」
ワイキキの海を泳ぐ「ホヌ」

前号では、ハワイ州で展開されている「レスポンシブル・ツーリズム」の取り組みを取り上げた。ハワイでは人と海洋生物の共生を目指すために定められた州法とアメリカ連邦法がある。今週は、ハワイの海洋生物を保護する取り組みを紹介したい。

ハワイで人々に愛され、大切な存在として親しまれているのが「ホヌ」。現地の言葉でウミガメを意味し、幸せを運ぶ海の守り神として古くから大切にされている。日本とハワイを結ぶ日系の航空会社がホヌをあしらった旅客機を専属的に運行するなど、日本人にとってもなじみのある存在である。

神聖な存在であるホヌを守ろうと州法では10フィート(約3㍍)以内に近づくことを禁止されており、これに抵触すると厳しい罰則を受けることになる。ワイキキエリアの護岸を歩いていると、目の前の浅瀬の海でホヌを見つけた。近くにはシュノーケルを付けた男性が静かにホヌの泳ぎを見守る姿があり、地域の人々の心を豊かにしてくれる神聖な生き物として、愛され親しまれていることを実感した。

遠く離れた和歌山県内にもウミガメが訪れる浜がある。みなべ町の「千里の浜」や、お隣の三重県紀宝町がアカウミガメの産卵地であることは、このコーナーでも取り上げた。太平洋沿岸に限られたものと思いきや、昨年夏には和歌山市の「磯の浦」で姿が見られるなど、和歌山県民にとってもウミガメは身近な存在。

海洋生物を温かい目で見守り、地域の文化として大切にする取り組み。保護するための制度を設けざるを得ないこともあるが、レスポンシブル・ツーリズムの観点で、地域の文化と歴史的背景を理解し、誰もがあたりまえのように自然と共生できる社会になることを願いたい。(次田尚弘/ホノルル)