南インド料理で交流 プリーティさん

愛称はプリティさん
愛称はプリティさん

和歌山県紀美野町町田のシェアハウス「シェアードレジデンスフラッグ」で南インド料理教室が開かれた。講師を務めたのは、同町地域おこし協力隊でインド人のプリーティ・セルワニさん(27)。同シェアハウスを拠点に国吉地域の活性化を目的に活動している。

プリーティさんは、インドのアーンドラ・プラデーシュ州出身。昨年11月に地域おこし協力隊に着任した。地域のサロンなどにも積極的に参加。地元の人と交流を図り、地域の人らからは親しみを込めて「プリティさん」と呼ばれている。

プリーティさんは、インドのIT企業に勤務していた。日本企業の人と仕事をする機会があり、「日本で働いてみたい」と思ったという。

26歳の時、兵庫県神戸市に移住し、半年間日本語学校に通った。その後も日本での就職を希望。しかし、パソコンに向かい同じような作業をする忙しい毎日に違和感を抱き、IT以外でできることはないかと探した。地域おこし協力隊を知り、「やってみたい」とチャレンジを決めた。

さまざまな県を訪ねた中から、和歌山を選んだ。「ここでの仕事は1人じゃなくてチームがある。協力してくれる人がいることで決めた」と話す。

主な活動は、イベントの企画運営やコミュティーづくり。今回のイベントは、普段から料理が好きで、南インド料理を作っていることから、料理教室を企画した。

地域の住民ら8人が参加。南インドでは、ナンではなく米をよく食べるといい、プリーティさんはベジタリアンのため、「ポリヤル」や「グッティヴァンカヤ」など、肉を使用しない7メニューを作った。

名前からは想像がつかない料理に参加者は「何ができるの。わくわくする」と笑顔。グッティヴァンカヤは、切り込みを入れたナスに、豆やスパイスなどを詰めて蒸し焼きにした料理。ナッツにスパイスを入れてブレンダーでペースト状にする工程では、水分がないので混ざりにくく苦戦するも、参加者は「この料理がメインのような気がする」と想像を膨らませながら作業を進めた。

「ラヴァ・ラドゥ」という料理は、ドライフルーツとセモリナ粉、砂糖などから作られた甘いお菓子。牛乳から作られるギーというバターオイルにセモリナ粉を入れ、色が変わるまで炒め、ドライフルーツを合わせて丸い形にしていき、約2時間かけて全品を完成させた。

プリーティさんは、食べる順番や辛い場合はヨーグルトを混ぜると良いなどと説明し、参加者は本場の味を堪能した。参加した国吉地域の大西順美さんは「水を使わないで野菜の水分だけで作ったので野菜の味が生かされていて濃厚でおいしかった。良い経験になった。また参加したい」とにっこり。

プリーティさんは「人数に対して作る量がどれだけいるか分からず難しかったけれど、また開催したい」と話した。

今後は、都会の人にまき風呂や野菜を育てることなど、自給自足できる魅力や健康的な暮らしを伝えていきたいといい「毎日変化する生活で、新しい学びや文化を知ることが楽しい。動物が好きなのでファームを作って、ミルクや卵の収穫もやってみたい。皆と協力して地域に貢献できたら」と話している。

任期は2027年11月まで。