熊野古道を次世代へ 大上さんが写真展

和歌山県海南市の写真家、大上敬史さん(66)の写真展「熊野古道 撮り続けて40年」が4日まで、和歌山市和歌浦南の和歌の浦アート・キューブで開かれている。1985年ごろから現在まで熊野古道を写した30点以上の写真が並ぶ。
大上さんはJPA日本写真作家協会会員、海南市美術家協会会員(役員)。海南高校の写真部に所属し、写真を始めた。1980年にミノルタロッコールフォトコンテストで年度賞を当時最年少(22歳)で受け、審査員の故・篠山紀信氏に評価された。
23歳の時、紙面で熊野古道を歩く連載を見たことをきっかけに、熊野古道を歩くように。写真で道を表現するのは難しいとされる中で、篠山氏のアドバイスもあり「熊野古道と人」をテーマに撮り始めた。
語り部や宿の店主らから、現地に伝わる話や逸話などを取材。熊野古道を世界遺産に登録するプロジェクト準備委員会に参加し、熊野古道の実地踏査を重ねてきた。現在は、和歌山市禰宜の矢田峠や海南市藤白の藤白峠など、短距離だが地元の人らの保全により、今も残る世界遺産未登録地域の追加登録を目指す活動をしている。
今展では、熊野古道があったであろう道が整備により変化した前後の変遷写真や、那智の滝の一部が凍り観音像が現れた写真、取材で出会った人たちのショットなどが並ぶ。
大上さんは「道は生きている。信仰の聖地としての道の良さや価値を伝え、若い世代に残したい。未登録の熊野古道が登録されれば、和歌山市や海南市にも世界遺産があることになる。熊野古道があることや文化を市民にアピールしたい」と話している。
午前9時から午後7時まで。4日午後1時からトークショーを開催する。また、11日には開催中の大阪・関西万博の関西パビリオン和歌山ゾーンで熊野古道のプレゼンテーションも行う。