迫力の御輿おろしに歓声 和歌祭、華やかに

威勢のいい掛け声とともに108段の石段を下りる神輿
威勢のいい掛け声とともに108段の石段を下りる神輿

400年以上続く紀州東照宮(和歌山市和歌浦西)の例祭「和歌祭」が11日、和歌浦一帯で盛大に行われた。祭りの始まりを飾る神輿(みこし)おろしでは、約100人の男衆が神輿を担いで本殿から続く階段を勇ましく下り、渡御行列では周辺が時代絵巻に彩られた。

同祭は、初代紀州藩主徳川頼宣が父・家康の霊を慰めるため1622年に始めた。縮小や中断、再開などさまざまに形を変えながら継承されている。

神輿おろしは、重さ1・3㌧の大神輿を男衆が担ぎ、「チョーサー、チョーサー」と威勢のいい掛け声とともに神輿を左右に大きく揺らしながら108段の石段を下り、見物客からは大きな歓声が上がった。

同祭実行委員会の中山豊若委員長の「エイエイオー」の掛け声で渡御行列は東照宮を出発。徳川頼宣の生母、お万の方にちなんだ芸能と伝承されている団扇太鼓(うちわだいこ)、反物を上に積んだ櫃(ひつ)を担ぐ行商人のいでたちをした子供連尺、紀州手まりを弾ませる踊りをする舞姫、和歌祭の創始からある餅搗踊(もちつきおどり)など約40の演目に800人が参加。和歌浦漁港、片男波海水浴場、あしべ通りと歩き、四つの演舞ポイントでそれぞれの芸や技を披露。沿道は県内外から訪れた観光客でにぎわった。

歌舞伎風の化粧をして頭上に面を着け、子どもを見つけると鳴り物を鳴らして驚かせる面被(めんかぶり)の岩出直也さん(53)は「泣いて逃げ惑う子、動じない子いろいろいて面白い」とにっこり。笑顔で華やかにみこしを担いだ「女子神輿」の女性(33)は「みこしは重かったけど、メンバー同士の絆が深まった」と元気いっぱい。

華やかな南蛮衣装に身を包んだ「唐人行列」に参加した和歌山大学4年生の留学生カルレン・セーリシアさん(インドネシア)は「和歌浦に来たのは初めて。海や山、自然いっぱいの景色を楽しみながら歩いて楽しかった」と笑顔だった。

鳴り物を手に歩く面被
鳴り物を手に歩く面被