地域の伝統絶やさない 岡崎団七踊り披露

和歌山県指定無形民俗文化財の「岡崎団七踊り」が14日、和歌山市西の西熊野神社で披露された。
団七踊りは、江戸時代に奥州白石で志賀団七に父を切り捨てられた姉妹が、あだ討ちした逸話に由来。浄瑠璃や歌舞伎となって江戸で流行したものを、参勤交代に随行した岡崎の藩士が観劇し、口説き音頭と踊りにして地元に伝えたとされる。
保存会が自治会や消防団の岡崎分団西班、子ども会と協力して守り伝え、コロナ禍を経て昨年、5年ぶりに再開した。
法被や伝統の衣装を着た参加者は、芝居仕立ての口上に続き、音頭取りの口説きや鉦(かね)・拍子木などの囃子(はやし)に合わせて披露。団七役が刀、姉妹役が鎖鎌と薙刀(なぎなた)を持ち、3人一組で踊った。
両親や姉も踊り継ぎ、昨年に続いて2度目の参加という岡崎小学校3年生の岡﨑大智さん(9)は団七役で踊り「練習も楽しかった。振り付けはちょっと難しいけど、こつをつかんだら簡単」と笑顔で話していた。
ことしは子ども会の解散もあり、2組を確保するのがやっと。コロナ禍前は4組ほどの演者がおり、多い時では6組あったという。少子高齢化の影響で、今後の存続が危ぶまれる。団七踊保存会の小谷喜紀会長(74)は「今後は地元民だけでなく、岡崎地区全体に呼びかけて参加者を募るなど、考えていかなければならない。興味のある方、踊りたい方がおられれば、ぜひお待ちしています」と話している。