川底きれいにアユ増殖へ 紀の川大堰人工魚道清掃

生い茂った雑草を除去する参加者
生い茂った雑草を除去する参加者

和歌山県内水面漁協連合会(川口恭弘会長)は25日、和歌山市有本の紀の川大堰人工河川式魚道でアユの産卵場整備作業を行い、県内外の漁協関係者の他、国交省、県水産局の職員、アユの釣り人ら4者合同の約50人が魚道で生い茂っていた藻や雑草などを除去した。また、水ときらめき紀の川館で座談会を開き、専門家と釣り人の視点からそれぞれ漁場の環境整備についての意見を交わした。

藻引きといわれる清掃作業は幅7㍍の人工魚道約800㍍区間で行われ、水深20㌢ほどの底から生えている藻だけでなく、大きく育ったアシなどの雑草を刈り取った。

同漁連によると、藻や雑草を取り除き、水底が玉砂利になるとアユが産卵しやすい環境になり、来年のアユの遡上(そじょう)量増加が期待できるという。

作業に参加した国交省近畿地方整備局和歌山河川国道事務所の小林侑所長は「実際に人工河川式魚道に入ってみて魚道の目的を果たせているか、自分の目で見るのが大切。紀の川の良さ、価値を地域の方と共有できる機会」といい、汗を流した。

アユ釣りが趣味で家族と共に参加した吉田誠さんは「去年、子どもたちが喜んでいたのでことしも参加した。ここで自分たちが清掃に携わった結果が来年の釣果に結び付くと思うと感慨深い」と釣り人の目線から話した。

川口会長は「年々参加者の皆さんの数が増え、ことしは県外からも来てくれて非常にありがたい。今後もこの活動が広まっていってくれれば」と期待を込めた。

魚道は今後、トラクターで再度掘り起こし、31日に産卵用の親アユを放流し、12月にはふ化したばかりのアユの観察会も開くという。