福島の現状と課題知って 復興庁が向陽中で授業

東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故で被害を受けた福島県の復興について考えてもらおうと、復興庁による出前授業がこのほど和歌山市太田の向陽中学校で開かれた。東日本大震災が発生した年度に生まれた3年生約70人が、復興の現状や課題などを学んだ。
復興庁が2022年度から全国の中学校と高校で実施しており、県内では初めて。本年度は全国12の県の16校で実施している。
同庁福島復興再生総局の開出英之事務局長(63)が講師を務めた。開出事務局長は東日本大震災が地震と津波、さらに福島第一原発による原子力災害が複合した未曽有の大災害であることを説明。今なお2万4000人以上の福島県民が避難を余儀なくされており、廃炉作業や除染による除去土壌の最終処分先、農林水産物の風評被害など数々の課題についても話した。
生徒たちによるグループワークでは「福島を応援し関心を持ってもらうための必要な取り組み」などのテーマについて議論した。生徒たちから「絵本を作って震災を知らない子どもたちに知ってもらう」「福島県産の食品の加工品を給食に使う」「有名タレントを活用しテレビで福島県産のものを紹介する」など、さまざまな意見が出された。
3年生の石川宙さんは「遠い昔のことで人ごとのように感じていたが、14年たっても爪痕が残っていて、復興の難しさを知った。福島に旅行してみたいと思った」、辻本くるみさんは「風評被害や復興できていないところを初めて知った。自分たちができることがいっぱいあると思った」と話した。
開出事務局長は「風評被害による県産品の買い控えや、復興再生土としての有効活用など理解が追いついていない現状がある。正しい知識を得てもらいたい」と話した。


