安全システムに異常か 飛行中断のカイロス3号機

カイロス3号機についての記者会見に臨む豊田社長㊨、関野副社長
カイロス3号機についての記者会見に臨む豊田社長㊨、関野副社長

宇宙事業会社スペースワン㈱(東京都)の小型ロケット「カイロス」3号機は5日午前11時10分、串本町の「スペースポート紀伊」から打ち上げられたが、68・8秒後に飛行中断措置が取られ、自爆した。同社は午後に記者会見を開き、機体や飛行経路に異常は見られなかったが、飛行中断を判断する自律飛行安全システムに問題が起きた可能性があると説明した。原因は今後、詳しく調査する。

同社によると、打ち上げ時刻の射点の天候は晴れ、気温13度、南南東の風秒速5・8㍍と極めて良好。打ち上げ後の機体は1段目のエンジン燃焼中、高度約29㌔で同システムが働いて飛行中断となり、自爆した機体は紀伊半島南方沖に落下したとみられる。機体の破片などによる人的・物的被害はなかった。

会見で同社の関野展弘副社長は「飛行中断系統が何かしら問題を起こしたと考えるのが妥当」と述べた。飛行中断を行う自律飛行安全システムは2系統あり、「片方の系統がおかしくなったと判断した場合には、有無を言わさず残っている系統で(機体を)壊すというシステムを組んでいる」と説明し、どちらかの系統に異常が起こったとの見方を示した。

国内初となる民間単独で人工衛星を軌道投入するミッションは今回も達成できず、豊田正和社長は「皆さまに心よりおわびを申し上げる」と陳謝。高度110・7㌔の宇宙空間に到達した2号機よりも早い段階での飛行中断については、「あたかも後退のように見えるかもしれないが、今回の打ち上げでも確実にノウハウ、経験を蓄積することができ、前進ができたと考えている」と述べた。

カイロスは初号機から契約相手の人工衛星を搭載して打ち上げを行い、3号機には、広尾学園(東京都)の高校生が開発した衛星や台湾国家宇宙センター(TASA)の衛星など5機が搭載されていた。衛星を搭載しない打ち上げ実施の可能性について問われた豊田社長は、「打ち上げにリスクがあることはお客さまにも伝えている。それを理解いただいた上で一緒に挑戦していくことを大事に思っている。今後も同じ形で対応していきたい」と答えた。

会見には赤澤亮正経済産業大臣がコメントを寄せ、「宇宙開発には多くの挑戦を積み重ねてようやく成功を成し遂げた歴史がある。決して諦めることなく、今回得られたデータや知見を生かし、次の成功につなげてほしい」とした。

同社は今回の飛行データを分析し、原因究明と必要な改善を進める。4号機の打ち上げ時期は未定だが、初号機から2号機の打ち上げまでは約9カ月、2号機から3号機は約1年3カ月の期間を要している。