コガタペンギン赤ちゃん公開 アドベンチャーワールド

施設初の人工ふ化で誕生したコガタペンギン(アドベンチャーワールド提供)
施設初の人工ふ化で誕生したコガタペンギン(アドベンチャーワールド提供)

和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドで5月29日、世界最小のペンギン「コガタペンギン」の赤ちゃんが誕生。6月6日から一般公開されている。同施設初の人工ふ化に成功した。2015年の飼育開始から、雄と雌のペアリングや有精卵の確保、ふ化器の条件設定など、試行錯誤を重ねてつかんだ初の成果。ふ化を担当した飼育部マリン課の山内博勝さんは「一つずつ段階をクリアしてここまできた。誕生は何よりうれしい」と話している。

わずか37・2㌘で生まれた赤ちゃんは、生後10日で109・9㌘に成長。元気な鳴き声を響かせ、パタパタと羽を動かす姿に、多くの人が目を細めている。

生後10日で体重は約110㌘に
生後10日で体重は約110㌘に

同施設では、誕生したひな以外に雄3羽と雌2羽のコガタペンギンを飼育中。現在計6羽。コガタペンギンは最大約40㌢、1㌔になり、他種に比べて約20~25年と短命であるが、1年で性成熟を迎えるなど成長が早い特徴を持つ。

人間の生活圏に近い沿岸部に生息。交通事故や海洋ごみの誤食、海水温上昇による餌不足など、さまざまな影響を受ける。また、環境変化に敏感で、人工ふ化や繁殖、育雛には高度な技術が求められる。

成功までの道のりは、相性の良いペンギンペアの成立を目指すことからスタートした。産卵するようにまでなったが、無精卵が続いた。他施設や生息地オーストラリアの事例を参考に、自然な交尾を促す環境づくりを徹底した結果、24年ごろから有精卵が安定して得られるようになったという。

次の課題となったのは、ふ化器の温度や条件設定だった。仮説を立て、検証するという手探りの状況が続いた。今回、これまで無関係とみられていた卵の揺らし方を一部変更するなどしたところ、成功したという。

山内さんは「心が折れそうになったこともあり、ゼロを1にすることが大変だった。継続的な繁殖を目指したい」と話した。今後は今回の成功例をベースに、ふ化の確率と質を向上させる。

国内でコガタペンギンを飼育する施設は4施設で、関西エリアではアドベンチャーワールドのみ。動画配信サービスのユーチューブでは、24時間見守りカメラで成長の様子を見守ることができる。