趣向を凝らした「ハモ料理」

前号では、梅雨の水を飲んでうまくなるとされる、山と海が織りなすハモの魅力を取り上げた。ハモを使った料理として、梅肉和えや天ぷらが代表的であるが、他府県の食文化に目を向けると味わい方はさまざま。今週はハモをおいしくいただく郷土料理の数々を紹介したい。
兵庫県南あわじ市の漁師めしとして人気であるのが「ハモすき」や「ハモ鍋」。ハモの骨から取った出汁に、淡路島特産のタマネギをふんだんに使い、身と一緒に煮込む。この時期に旬を迎え、うまみが増したハモに、甘みが強いタマネギ、だし汁が相まって暑い時期でありながらも食が進む。
締めに湯がいたそうめんを入れ、だし汁と一緒に食べるのが恒例で、余すところが無いとされるハモの魅力と秋冬に親しまれる鍋料理と夏ならではのそうめんが融合した、この時期ならではの郷土料理である。一説には淡路島の南へ行くほど甘みが強くなるとか。同じ地域でも味わいが異なるという面白さもある。
他にも、骨切りしたハモを蒲焼やあぶりにして香ばしさを出し、酢飯と合わせた「ハモ寿司」は関西の風物詩として親しまれる。大阪府の南部などで見られる、ハモを素焼きし、さらに照り焼きにしたものをミンチ状にしたものを、甘辛く煮詰めた椎茸などと合わせた「ハモの押し寿司」は印象的。ハモの皮や身を軽くあぶり、塩もみしたキュウリと共に酢で和えた「はもきゅう」は暑い時期にうれしい料理である。
和歌山県内ではハモの魅力を発信する取り組みが進められている。「戸坂のハモ」として名高い、戸坂漁港がある海南市下津町では、ハモを揚げた「ハモカツ」や「ハモちらし」など、市内の飲食店が趣向を凝らしたメニューを考案し提供。手軽に食べられる新たな価値が模索されている。(次田尚弘/和歌山市)

