「くまなく」がん検診を 県が事業強化、啓発キャラも

和歌山県内のがん死亡率(75歳未満年齢調整)は2024年時点で全国ワースト4位の人口10万人当たり72・8人で、主要5がんの検診受診率は全て全国平均を下回っている現状があり、県は9月の「がん征圧月間」に合わせて取り組みを強化する。8月31日には、和歌山市出身の漫画家マエオカテツヤさん(58)が制作したがん検診啓発キャラクター「クマグス博士」が県庁知事室でお披露目され、マエオカさんと宮﨑泉知事が県民に検診を受けるよう呼びかけた。
県健康推進課によると、県内の死因はがんが最も多く、24年の人口動態統計では総死亡者数の22・7%、3317人に達する。75歳未満年齢調整のがん死亡率は全国平均の64・7人を大きく上回り、特に男性が全国ワースト3位の91・1人で、女性も同7位の57・2人となっている。
がんはステージ1の早期で発見、治療ができれば、5年生存率は90%を超える部位が多いが、進行すると生存率は大きく低下する。がん細胞が検査で見つけられる1㌢程度から「早期」の範囲の2㌢に拡大するまでの期間は1~2年とされるが、この間は自覚症状がほとんどなく、がん検診による早期発見が、死亡率低下のために非常に重要となる。
県内のがん検診の現状をみると、22年の受診率は、胃がん47・5%、肺がん46・5%、大腸がん40・6%、子宮頸がん38・7%、乳がん39・5%で、いずれも全国平均を下回っている。
県が24年に実施したアンケートでは、受診しない理由は「面倒くさい」(29・2%)、「時間を確保できない」(26・6%)、「職場で実施していない」(18・0%)などが多かった一方、受診の理由は「職場等からの指示・勧奨」(40・3%)が最多で、職域での働きかけが重要なポイントとして浮かび上がっている。
そこで同課はマエオカさんに啓発キャラクターの制作を依頼し、完成した「クマグス博士」を掲載したチラシや啓発資材を使用し、主に事業所向けの取り組みに力を入れる。
従来から行っている経済団体を通じた受診の働きかけなどに加え、協力する金融機関の営業担当者から、取引先の顧客延べ約1万8000者に啓発チラシを配布してもらう取り組みを新たに実施し、JR西日本の79駅での構内放送やLED表示板での啓発、県道や県管理国道の道路情報板約60基での啓発などの取り組みも進める。
「クマグス博士」は、県出身の世界的な博物学者・南方熊楠が虫眼鏡をのぞき込む姿をモチーフとし、「くまなく検診」して、がんを早期発見・治療する思いが込められている。
8月31日、知事室を訪れたマエオカさんは、4年前に乳がんで亡くなった母親が、発見時にはすでにステージ4であった体験を紹介し、「がんは早期発見、早期治療で救われる病気だと肌で感じている。クマグス博士には、一人でも多くのがんを早期に見つけてもらい、早期に治療してもらい、長生きしてもらう、そういう思いが全部詰まっている」と話した。
宮﨑知事はマエオカさんに感謝し、県民には「自分は大丈夫だとか、がんが見つかるのは怖いということで検診に行かない人が多いと思うが、症状が出ていない今こそ検診をしないといけない。ぜひ皆さん、検診に行ってください。よろしくお願いします」と呼びかけた。

