ありがとう市民会館 開放で建物と別れ惜しむ

和歌山市民の文化活動拠点として長年愛された伝法橋南ノ丁の市民会館が30日で閉館するにあたり29日、館内を開放し自由に見学や写真撮影ができる、さよならイベントが開かれた。

訪れた人は「ここで成人式をした」などとそれぞれに思い出を語りながら、42年の歴史ある場所に別れを告げていた。開放は30日も行われる。

同館は市政70周年記念事業の一環として、1979年7月に開館。南海和歌山市駅に程近く、隣接する市立博物館や旧市民図書館と共に、音楽や舞台公演、展覧会など文化活動の中心としての役割を担ってきた。老朽化によりその歴史に幕を下ろし、10月に開館する「和歌山城ホール」に役目を引き継ぐ。

この日、訪れた人は大ホールや小ホールの他、普段は入れない楽屋などを見学。ホールの舞台に上がり、その最後の姿を収めようと熱心にカメラのシャッターを切る人もいた。

市内の宮脇康夫さん(76)は「これで終わりかぁ。このロビーの椅子によく座って休憩したな」と感慨深げ。合唱の発表会や子どものお遊戯会で同館を利用したという市内の西岡佳奈さん(43)は「前を通るたびに子どもが発表会をした時のことがよみがえる。思い出は消えないけど、ずっと身近にあった建物がなくなるのは寂しい」と話していた。

閉館式は、30日午後4時半から玄関前(雨天時はロビー)で行われる。

問い合わせは市文化振興課(℡073・435・1194)。

 

思い出を語りながら最後の姿を写真に撮る見学者