高齢者虐待事件受け 福祉施設が緊急研修
岩出市で高齢者を虐待した介護士が逮捕され、 海南市でも虐待を疑われる行為が発覚したことを受け、 高齢者虐待防止の緊急研修会が27日、 県勤労福祉会館プラザホープ (和歌山市北出島) で開かれた。 県・県老人福祉施設協議会 (小林弘会長) 主催で、 県内の老人ホーム関係者ら約400人が訪れ、 メモを取るなど真剣に講演に耳を傾けた。
関西国際大学教育学部教育福祉学科講師の山本秀樹さんは 「高齢者虐待の防止に向けて」 と題し講演した。
山本さんは、 高齢者の虐待が発生する要因として、 居宅や老人ホームなどの施設が外部の人の目が入りにくく密室性を持っている▽介護者と要介護者に力の差がある▽介護者にストレスがあり、 介護に肯定感を持てないことの3点を挙げた。
特別養護老人施設などの職員による虐待は、 高齢者を子どもとして扱ったり、 個別のニーズを無視するといった特徴があるとし、 「職員の性別や属性で、 虐待をしやすいという共通点は考えにくい。 虐待を行っている施設自体が変わらないと駄目」 と指摘。 施設としてより良い介護を目指すために、 「トップの立場の人はリーダーシップを持って、 より適切なケアができる環境を整えて。 職員が必要以上のストレスをためないよう、 必要なものを取りやすい場所に置くとか、 小さなことも改善するのが大切」 とし、 「施設で実習生を積極的に受けるなど、 第三者から見られるという 『評価の視点』 を持つべき」 と呼び掛けた。