職業訓練の現場公開 ポリテクセンター和歌山

公的職業訓練「ハロートレーニング」をより多くの人に知ってもらおうと、和歌山労働局は、ポリテクセンター和歌山(和歌山市園部)で、自治体や報道関係者に施設と訓練の現場を公開する「メディアツアー」を行った。テレビや新聞、各市町村の雇用対策担当の職員ら約20人が参加し、施設内を見学した。

同センターには電気設備技術科、CAD・生産サポート技術科、CAD・NC技術科など六つの職業訓練コースがあり、現在、受講生は126人。専門技術を持った職業訓練指導員が、基礎から応用までじっくり教え、手厚い就職支援も行っている。

受講生の7割が女性という住環境計画科では、内装施工、配管の図面作成、住宅の設計・製図などを学び、設計アシスタントや住宅アドバイザー、コーディネーターなどを目指し、15人が学んでいる。

受講生の植田未生さん(38)は「前職は介護福祉士で、それぞれの住環境によって自宅での介護は難しいと思っていた。リフォームなどの実技を学び、新しい世界が開けている」と目を輝かせていた。

溶接加工科では、習得に時間を要する溶接の技術を、勘、こつなどを見える化したAR溶接シミュレーターを使い、効率よく技術向上を図っていた。

ビルや施設などの建物設備を維持管理できるような訓練を行うビル管理技術科は、受講生27人のうち11人が60歳以上。受講して2カ月という川崎学さん(60)は「40年間、車のディーラーをやっていた。定年を迎え心機一転、違うことをしたいと思って来た。同じクラスには20代から60代までいるが、違和感なく楽しくやっている」と受講のきっかけを話し、「IT関連の仕事をしていたが、70歳まで働くのは難しいと思った。ビル管理の業界には高齢者が多いので、長く働けそうだと思い、受講した。就職に役立てようと資格を取り、内定をもらったところ。12月から働き始める」と笑顔だった。

受講生の就職率は昨年12月末の時点で84・2%だといい、同センターの立山雄一所長は「和歌山県では求人数が求職者数を上回る状況が続いている。県が抱える人手不足という課題の重要な対策の一つが、職業訓練による人材の育成にあると考えている。より多くの人にハロートレーニングやポリテクセンターを知ってもらい、受講してほしい」と呼び掛けている。

問い合わせは同センター(℡073・461・1532)。

訓練内容について説明する職業訓練指導員

訓練内容について説明する職業訓練指導員