過去最低の競争率0・88倍 23年度公立高入試 

和歌山県教委は9日、同日実施した2023年度公立高校入試の受検状況を発表した。この日午前11時点では、5879人(全日制5697人、定時制182人)が受検。26人(同22人、同4人)の欠席があり、うち11人(同9人、同2人)が再学力検査の対象となった。欠席者で同検査を希望する場合、16日の正午までに願い出る必要がある。

県立全日制(29校4分校60学科)は本出願者5442人(スポーツ推薦含む)中、5422人が受検し、受検倍率は本出願時の0・89倍を下回る0・88倍となった。1倍を下回るのは7年連続。現行の入試制度が始まった09年度以降、20年度から3年連続だった最低倍率の0・89倍を下回り、過去最低倍率を更新した。

県立定時制(7校9学科)では、本出願者182人中179人が受検したため、受検倍率は本出願時の0・37倍から0・36倍に下がった。

10日には県立全日制の9校3分校19学科、定時制の7校9学科で面接や実技検査などが行われた。

合格発表は17日午前10時に各校に掲示する他、11時に県教委の専用ホームページにも掲載する。同日午後2時に追募集の定員を発表し、追募集の出願は24日に締め切り、追募集学力検査、再学力検査は28日。合格発表は30日に行われる。

この日、和歌山市立和歌山高校の定時制で試験開始時刻が10分遅れるトラブルが発生。市教委によると、3人の受検生がいる教室を担当していた試験官の腕時計が10分遅れていたことが原因とし、定刻の9時25分より10分遅れの35分から試験を開始した。午前中の3教科は全て10分遅れで実施し、午後は定刻通りで進めたという。

市教委は今後、試験官の腕時計の時刻を全員で確認することを含め、入試実施に付随する業務の点検をし、マニュアルを作成することで再発防止を図るという。

各教科の出題方針は次の通り。

【国語】漢字や言葉の使い方、書写、漢文の基礎的な力を試す問題を大問一に集約。大問二では読解力、大問三では小説の内容や心情を理解して適切に表現する力、大問四では資料をもとに自身の考えをまとめて表現する力をみた。

【社会】成年年齢の引き下げによる影響や人口減少・少子高齢化による課題を題材に、政治、経済などの基本的な理解をみた。地理、歴史、公民のいずれも、資料を読み取る力や、社会的事象の意味や意義を理解し、適切に表現する力をみた。

【数学】数と式、図形、関数、データの活用の各領域が、各学年の指導内容全般にわたるよう配慮した上で、いずれの領域でも、基礎的な力や、問題解決への関心・意欲、事象を数理的に考察する力をみた。

【理科】第1分野では水溶液や電流について、第2分野では植物や天体についての基礎的な力を試した。自然の事物・現象を研究するために必要とされる基礎的・基本的事項についての知識や理解、科学的な思考力、問題解決能力が身に付いているかをみた。

【英語】リスニングでは、昨年度から取り入れた放送回数が1回のみの問題も出題。海外の高校生との交流など、身近な題材から出題し、取り組みやすい内容とした。表現の領域では、自分のことを30語以上の英語で自由に表現させ、表現力や意欲をみた。