努力は誰かが見ている 元ヤクルト坂口さん講演
昨季限りで現役を引退したプロ野球元ヤクルトの坂口智隆さん(38)の講演会が5日、和歌山市西浜の県立和歌山工業高校(松本泰幸校長)で開かれた。野球部やラグビー部の選手、コーチら約50人が参加。坂口さんは、話題の現役プロ野球選手の素顔やトレーニング方法、野球選手としての振る舞い方などについて話した。
坂口さんは、2002年ドラフト1位で大阪近鉄バファローズ(現オリックスバファローズ)に入団。俊足強肩の身体能力を買われ、外野手に転向後は11年にパシフィック・リーグ最多安打を受賞するなど昨季の引退までに1545試合出場、打率2割7分8厘、1526安打の成績を残した。ことしからは野球解説者を務めている。
講演会は、近鉄時代の先輩だった同高野球部の中本和希監督(41)の依頼で実現した。
WBCに出場している大谷翔平選手(28)については、打者として大谷投手と対戦した思い出を紹介。「打席に立つと、大谷投手が近くにいると感じるぐらい威圧感とオーラがあった」と振り返った。
ヤクルト時代のチームメートで昨季セントラルリーグ56本塁打を記録した村上宗隆選手(23)については、「球場で村上選手の姿が見えないときは、必ず決まった場所でトレーニングを黙々と行っていた」と秘話を明かした。村上選手が1年目で結果が出ないときは、ロッカールームで頭をタオルで隠して悔しがっている姿を目撃したエピソードも紹介。生徒たちは、真剣なまなざしで坂口さんの話に聞き入っていた。
部活動に打ち込む生徒たちへは「見られているつもりで一日を過ごすことが大事」とアドバイス。「村上選手のように、人知れず努力をすれば必ず誰かが見ていてくれる」とし、「その積み重ねでチームメートから尊敬されるようになる」と強調した。
生徒からの質問にも応じ、野球部の織田京介外野手(1年)は、坂口さんに外野守備で飛球を捕る際の一歩目の踏み出しが遅い悩みを相談。坂口さんは、「ボールをしっかり見てから落下地点まで速く駆け抜けることが重要なので、一歩目が遅いことが問題ではない」と答えていた。