復旧のめど立たず 一夜明け被害明らかに

和歌山県内各地で川の増水などによる浸水被害が発生し、一夜明けた3日。被害を受けた地域では、住民らが屋内に入った水や泥をかき出するなどの作業に追われた。

下津防災コミュニティセンターとして避難場所に指定されている海南市下津行政局(同市下津町丸田)では、2日午前11時ごろ、入り口に30㌢ほどの鉄板のバリケードを設置。土嚢(のう)も置くなど、浸水を防ごうと試みたものの、水の勢いが強く1時間後に決壊したといい、同局の瀧本義之さん(58)は「水に浸かりながらポンプアップもしたけど、水道を出しっ放しにしたような勢いで、あっという間に80~90㌢まで浸水した」となすすべの無い状況を振り返った。

職員らは消防の救助ボートで避難してきた地域住民ら約5人と共に、午後6時ごろに水が引くまでは2階で過ごし、3日午前8時半から同局や海南市教委、青少年センターの職員約60人が復旧作業にあたった。

職員らは1階の全ての物を外へ運び出し、床を洗浄したり使えなくなった物品を仕分けたり、泥にまみれた物の処理に追われていた。瀧本さんは「復旧のめどは立っていない」とし、「2、3日後にはきょうよりももっと泥の臭いがきつくなるのでは」と話していた。

同局近くの仕出し「一作」でも、店先には割れた食器や障子など、浸水被害に遭った物がずらりと並べられ、店内の清掃作業に追われていた。

同店ではこれまでも30㌢ほどの床下浸水は何度も経験してきたが、今回は1㍍もの床上浸水。畳や冷蔵庫など全ての物が使えなくなったといい、同店オーナーの谷本久美子さんは「想像がつかないほどの被害」と話す。

同地域は、海からの水が加茂川の水を押し出すように流れてくるため、満潮時には普段から浸水しやすいエリアだという。谷本さんは「今回たまたま干潮の時だったけど、これが大潮の満潮時だったらこんな被害では済まなかったはず。これを機に、行政には根本的な対策をお願いしたい」と話していた。

机を外に運び出し水で洗浄

机を外に運び出し水で洗浄