男女2人行方不明 河川氾濫、浸水被害も
和歌山県内で、短時間に激しい雨が降る「線状降水帯」が発生した2日、海南市、紀美野町、九度山町、広川町に避難情報のうち危険度が最も高い警戒レベル5の「緊急安全確保」が発令され、浸水や河川の氾濫など広い範囲で被害が出た。紀美野町と紀の川市で男女計2人が川に流されたとの通報があり、警察や消防が行方を探している。
県のまとめなどによると、3日午前10時現在で、行方不明者は2人。2日午後1時ごろ、紀美野町の冠水道路に車両が進入し、車外に出た成人女性が増水した真国川に流されたという通報があった。また午後2時ごろ、紀の川市中鞆渕のJA紀の里鞆渕事業所南西約400㍍の集落で、真国川の氾濫の影響で、道路をロープにつかまり渡っていた70代と見られる男性が流されたとの通報が、付近の住民から寄せられた。この他、新宮市で避難中に風にあおられ、高齢の女性が転倒して負傷した。
同日午後2時15分ごろには、和歌山市を流れる亀の川が氾濫。海南市の日方川、加茂川の他、紀美野町でも川の水があふれ、住宅街の道路は一部、まるで川のような状況になった。
住宅被害では九度山町の中古沢で土砂が家屋に流れ込むなど半壊が3棟、広川町広などで床上浸水が8棟、紀の川市や紀美野町などで床下浸水が20棟。
1時間の最大雨量は、湯浅町で78㍉、有田市糸我で75㍉など非常に激しく降り、日高川町の小川ダムで降り始めから3日午前7時までの累積雨量が518㍉となった。
道路も通行止めが相次ぎ、岩出海南線や和歌山橋本線などで全面通行止めが67件、片側通行規制が8件発生した。
県内各地で停電が発生し、関西電力送配電和歌山支社によると、3日午後0時半現在、海南市で約40軒、紀の川市で約20軒などが停電している。
警戒レベル4の避難指示が出された和歌山市内では、小学校やコミュニティセンターなどの指定避難所に、一時、最大で86世帯124人が避難した。