高齢者虐待の通報増加 22年度、被害者数は減少
2022年度に和歌山県内30市町村で受け付けた高齢者虐待に関する相談・通報は391件(前年度370件)、虐待と判断された事例は194件(同190件)に増加し、虐待を受けた人は203人(同226人)に減ったことが県のまとめで分かった。
相談・通報のうち養介護施設従事者等による虐待に関するものは32件で、虐待と判断された事例は7件。虐待を受けた人は7人で前年度より32人の大幅な減少となったが、前年度の多さは、高齢者の安全を目的としたベッドへの柵の設置が適切な手順を踏まずに行われ、不適切な身体拘束として身体的虐待に認定された事例があったためで、20年度との比較では2人減にとどまっている。
虐待と判断された事例の種別は、身体的虐待が5人、言葉などによる心理的虐待が1人、性的虐待が1人。性別は女性4人、男性3人で、要介護状態は3以上が全体の85・7%を占めた。
養護者による虐待の相談・通報は359件で、うち虐待と判断されたのが187件、196人が虐待を受けていた。
虐待と判断された事例の種別(複数回答)は、身体的虐待が63・8%(125人)で最も多く、心理的虐待が38・8%(76人)、預金を勝手に使うなどの経済的虐待が14・8%(29人)、介護などの放棄が11・7%(23人)だった。
虐待の深刻度は、4段階評価で2番目に軽い「中度」が最多の26・0%で、次いで最も軽い「軽度」が17・3%、最も重い「最重度」と2番目に重い「重度」がそれぞれ14・8%で続いた。
虐待を受けた高齢者の73・5%を女性が占め、要介護認定者は半数強の51・5%、年齢別では80~84歳が26・0%で最も多かった。
虐待をした人の高齢者との関係は、息子が36・9%で最も多く、次いで夫が28・6%、娘が10・8%の順。高齢者と同居しているケースが81・6%に上った。
家族構成は、夫婦のみ世帯が32・1%と最も多く、未婚の子と同居が27・6%、配偶者と離別・死別等した子と同居、単独世帯が各11・2%で続いた。
虐待への対応は、22・2%で虐待者から高齢者を分離し、契約による介護保険サービスの利用、緊急一時保護などを行った。
虐待の防止、対応に向けた市町村の体制整備の状況は、対応マニュアルや業務指針などの活用は全市町村が実施し、日常生活に支障がありながら福祉や保健医療サービスを利用していない高齢者の早期発見の取り組みや相談の実施は90%で行われている一方、介護保険サービス事業者などからなる「保健医療福祉サービス介入支援ネットワーク」の構築への取り組み(33・3%)、行政機関や法律関係者、医療機関などからなる「関係専門機関介入支援ネットワーク」の構築への取り組み(30%)などは低い割合だった。