世界へ届け平和の願い キッズゲルニカ

子どもたちが平和学習の一環として制作した巨大絵画「キッズゲルニカ」が、和歌山市栄谷の和歌山大学教育学部東3号館1階エントランスに展示された。4日、お披露目会が開かれ、絵を描いた藤戸台小学校の1年生約150人が同校の堀本純平校長らと鑑賞に訪れた。

「キッズゲルニカ」とは、スペインの画家パブロ・ピカソが戦争を非難して制作した作品「ゲルニカ」に倣い、実物と同サイズ(縦3・5㍍、横7・8㍍)で、子どもたちが平和と希望の絵を描く国際的な平和アート・プロジェクト。

今回の作品は同大学教育学部との共同研究として、昨年の10月から3カ月間かけて同学部学生らの協力のもと事前学習などを行い、同小1年生の151人と、かぜのこ保育園(同市大谷)の園児17人が描いた。

制作にあたり、児童らは絵本の読み聞かせなどを通じて平和について話し合い、児童それぞれが「平和の種」としてイメージするものを考えたという。その種や、咲く花、実るものを下絵に描き、学生らがつなぎ合わせた布に絵の具で描いた。絵には多くの植物や花の中に、ハートや食べ物、家族の笑顔、手をつなぐ人や動物たちなどが、さまざまに描かれている。

完成した絵を見た児童らは「大きい!」「いろんな絵がある」「僕の描いた顔、見つけた」と、自分の描いた絵を注意深く探して、笑顔を見せた。

制作を取りまとめた同学部の丁子(ちょうじ)かおる准教授は「子どもたちは、自分の生活で大切なもの、世界の紛争地域に届けたいものを自分のこととして一生懸命に考えた。子どもたちの思いや、この活動が世界に広がっていけば」と話した。4年生の久保結海さん(22)は、「初めは真っ白な一枚の布が、これほど鮮やかになり、子どもたちの平和や幸せがカラフルなものだと実感した」、木村真菜さん(22)は「平和という言葉は(小学1年生には)難しいが、読み聞かせを通して平和のイメージをしっかり持っていた。子どもたちが平和への思いを自分の言葉で伝えてくれて良かった」と話した。

絵は平日(12日と14日を除く)の午前9時から午後5時まで自由に鑑賞、写真撮影できる。今後はキッズゲルニカ事務局(東京都千代田区)を通じて、国内外で展示される予定。

制作した絵を鑑賞する児童ら

制作した絵を鑑賞する児童ら