実践さながら煙の中 海南市消防総合訓練
和歌山県の海南市消防本部は29日、同市下津町の旧市立海南下津高校で、3署所による合同消防訓練を行った。
海南消防署警防第二課、東出張所警防第二班、下津消防署警防第二班が参加する訓練の一環。今回は廃校となった同高校の校舎とグラウンドを使い、より実践に近い想定で技術の向上や連携、情報伝達の強化を図った。
訓練は、3階建て校舎の2階の教室から出火と学校関係者から通報があり、逃げ遅れた人が数人いるとの想定で行われた。
隊員らには、救助者の人数や場所は伏せ、校舎内には、スモークを充満させた状態で開始した。
はしご車とポンプ車、タンク車などが配備され、指揮隊と消火隊、救助隊の計3隊、24人が指示に基づき屋内外で消火と救出活動にあたった。
指揮隊は現地で指揮本部を設置。災害状況を把握し、各隊に無線を使って指示を出した。3階の屋外に逃げ遅れた人を発見すると、隊員は、はしご車を出動させ、電線に架からないよう声をかけ合い、高所の救助者に近づき助け出した。
校舎内では、逃げ遅れた人がいないか検索。階段や部屋数も多く、構造が複雑な上、煙が充満して視界が悪い中、隊員らは離れないよう1本のロープを持ち、一部屋ずつ探した。教室内は机や備品などもあり、ロープが引っかかる場面も。緊迫した状況でも検索もれが無いよう迅速に隅々まで確認した。
出火した部屋で救助者を発見し、部屋から屋外へ運び出し消火活動を行った。訓練を終え、下津消防署の北口速三警防係長は「隊も多く連携が難しかった。普段の訓練棟とは違い、初見の建物での訓練はより実践に近い。多様な建物の災害に対応できるよう繰り返し訓練し、知識や技術の向上を目指したい」と話した。