「鰻と梅干し」は食べ合わせ?

食べ合わせが心配される「鰻と梅干し」
食べ合わせが心配される「鰻と梅干し」

前号では、冷凍した実山椒を使った「粉山椒」の作り方を取り上げた。ことしは2回ある土用の丑の日。先月24日に続き、今月5日にも食べようと検討されている方もいるだろう。猛暑が続き、塩分補給のために梅干しを食べる方も多いと思う。祖母が健在な頃、鰻と梅干しの食べ合わせは良くないと聞いた記憶がある。暑い季節に欠かせない存在の両者。本当に同時に食べることに問題があるのか、調べてみた。

結論からいうと、この食べ合わせに問題があるという医学的根拠は無く、あくまで迷信であるという。医学的には、鰻の油分の消化を助けるために、胃酸を濃くする作用がある梅干しは、むしろ良い組み合わせ。筆者も試してみたが、体調に変化は無かった。ただし、個人ごとに持病の有無などで何等かの不都合が起きる可能性は無いとは言えないため、不安な方は医師に相談されたい。

迷信ができた理由を探ると、民俗学に関係する。一説に過ぎないが、梅干しは胃酸を分泌させることで食欲が増し、高価な鰻を過食してしまうため、健康的にも、贅沢(ぜいたく)という観点からも、それらを戒めようというもの。

他には、暑さで鰻が腐敗していると酸味が出るが、梅干しを同時に食べると、どちらの酸味であるか区別が付かないというもの。昔の方々の生きるための知恵から、鰻と梅干しの迷信が生まれたことに合点がいく。

だが、迷信であると聞き流してはいけない食べ合わせは存在する。例えば、鰻とスイカ。水分の多い食物と油分の多い食物を食べると胃液が薄まり、消化不良を起こすことがあるという。胃腸に自信が無い方は、避けた方がよさそう。

暑さが厳しいこの季節。健康第一で乗り切りたい。(次田尚弘/和歌山市)