能登町長が感謝の訪問 半島地震の課題も語る
能登半島地震で大きな被害を受けた石川県能登町の大森凡世(かずよ)町長らが21日、和歌山県庁を訪れ、岸本周平知事に支援への感謝を伝えた。
能登半島地震では、被災自治体をどの自治体が支援するかあらかじめ関西広域連合が決めておく「カウンターパート方式」を採用し、和歌山県は同町を継続的に支援。1月5日~5月31日に県と県内市町村の職員延べ2560人(うち市町村893人)を派遣し、情報連絡や避難所運営、罹災(りさい)証明書発行事務などを支援した。
県庁知事室を訪れた大森町長は「家屋の被害調査や罹災証明の支援など普通は短期派遣のところを5カ月間もお世話になり、本当に感謝の念しかない」と謝意を伝え、岸本知事は「明日はわが身で、人ごととは思えない。派遣職員からは勉強になったという声も多い。これからの復興が大変だと思う。お手伝いできれば」と話した。
大森町長らは、町内の被害状況や復興の取り組みを報告。町内は死者25人(うち災害関連死23人)、負傷者51人、家屋の被害は全壊1339棟を含む1万2617棟に及び、被災した建物の公費解体申請が2232棟ある中、解体完了は8・2%の184棟にとどまるなど、復興への道はまだまだ険しいことを伝えた。
さらに、平場が少なく、仮設住宅の土地確保が困難だったこと、集落に通じる唯一の道がふさがれ、迅速な啓開に苦心した地域が多かったことなど、同じ半島地域である和歌山と共通する課題も話題に上がった。
訪問後、取材に応じた大森町長は「町職員も全員被災する中、手伝っていただく職員さんの派遣は非常にありがたかった」とし、「住民一人ひとりが災害に備えることが求められていると思う」と話していた。