「紀伊万葉かるた」寄贈 愛好家団体が和市小学校に

阿形教育長(右から2人目)と村瀬会長(同3人目)ら紀伊万葉ネットワークの皆さん
阿形教育長(右から2人目)と村瀬会長(同3人目)ら紀伊万葉ネットワークの皆さん

万葉集を通じて和歌山の魅力を子どもたちに知ってもらおうと、紀伊万葉ネットワーク(会長=村瀬憲夫近畿大学名誉教授)は、和歌山を詠んだ万葉集の歌を集めた「紀伊万葉かるた」を製作し、和歌山市の小学校53校に寄贈した。

同ネットワークは、万葉集の愛好家が集い、万葉集を地域の活性化に役立て、将来を担う世代に継承することを目的に活動している。

今回寄贈した「紀伊万葉かるた」は、県内を詠んだ約100首の万葉歌の中から、山部赤人の「若の浦に潮満ち来れば潟をなみ葦辺をさして鶴鳴き渡る」、有間皇子の「岩代の浜松が枝を引き結びま幸くあらばまたかへりみむ」など48首を選んで製作。読み札には、歌に詠まれた自然や景観がよく分かるカラー写真を入れ、取り札の文字は、県立桐蔭高校書道部員が書いた。

昨年11月に完成し、これまでに市内の小学校でのワークショップで活用したところ、子どもたちに好評。ことしは聖武天皇の和歌浦行幸から1300年の節目を迎え、「和歌の聖地和歌の浦誕生千三百年記念大祭」が開かれることから、同大祭実行委員会からの提案を受け、市内全小学校への寄贈が決まった。

寄贈式は市役所で行われ、同ネットワークから会長の村瀬さん、副会長の馬場吉久さん、事務局の木綿良介さん、同大祭実行委事務局の野口千惠さんが出席。村瀬会長が阿形博司市教育長にかるたを手渡し、阿形教育長は感謝状を贈った。

阿形教育長は「和歌山が詠まれた万葉集の世界を知ってもらい、和歌山に誇りを持つ子どもたちを育てたい。かるたはそのきっかけになり、遊びを通じて学ぶことができる」と寄贈に感謝。村瀬会長は「和歌は、詠まれたその地を歩いて楽しみ、声で歌い、耳で聞くことが大事。かるたを通して万葉歌が残る和歌山を身近に感じてもらい、現地に出かけて万葉人の心を知ってもらいたい」と話した。

「紀伊万葉かるた」は、玉津島神社、片男波公園内の万葉館で販売している。