本格会席料理を提供 県調理師会が高齢者施設で

料理を味わう高齢者
料理を味わう高齢者

高齢者に普段とは違う食事を楽しんでもらおうと、和歌山県調理師会(味村正弘会長)は9日、和歌山市新和歌浦の特別養護老人ホーム「ほうらい苑」を訪れ、施設利用者に料理を振る舞った。同会会員でホテルアバローム紀の国の総料理長兼割烹六つ葵料理長の津田忠昭さんが作るスペシャル会席料理に、デイサービスの利用者16人は「おいしい!」と喜びの声を上げた。

県の2024年度食育実践地域支援事業の一環として実施。

津田さんは、9月の行事である重陽の節句と中秋の名月をテーマに、地元の食材を使い、野菜を中心とした減塩で食べやすい健康的な料理を作り上げた。野菜を軟らかくすること、喉ごし良くすることに気を使ったという。

メニューは満月豆腐、雑賀崎産ブリの味噌柚庵(ゆうあん)焼き、米粉を使った雑賀崎産タイの南蛮漬け、減塩肉じゃが、ナスと豆腐の秋野菜あんかけ、由良の釜揚げしらすごはん、百合根団子みたらしあんの8品。高齢者の体の状態に合わせ、きざみ食にも対応した。特別に利用者の目の前で揚げ物など調理を行い、作っている様子も公開。店で使っている器を持ち込み、本格的に盛り付けた。

86歳の女性は「上品で優しい味。酢の物は苦手だったけど、きょうのはまろやかで酸っぱくなくてとてもおいしく全部食べた」と笑顔。

91歳の女性は「今は行けなくなったけど、昔よく旅行に行ったことを思い出す」、97歳の女性は「みんなで旅行に来たみたい」と笑顔だった。

津田さんは「ちょっと量が多いかなと思ったが、皆さんがたくさん食べてくれたことにびっくりで、うれしかった」と話していた。