科学でコミュニケーション 英国の生徒が向陽へ

一緒に実験する生徒たち
一緒に実験する生徒たち

イギリスのダートフォードグラマースクールで日本語を学ぶ29人は17日、姉妹校の一つである和歌山市太田の県立向陽高校(松本泰幸校長)を訪問。生徒らと一緒に学び、交流を深めた。

グラマースクールは中等教育機関で、11歳から18歳までの生徒が通う大学進学を前提とした学校。

この日は、文部科学省から4期目となる「SSH(スーパーサイエンスハイスクール)研究開発学校」の指定を受け、科学分野を中心にさまざまな取り組みをしている向陽高校で、環境科学科の1年生79人と共に、大学の研究者から科学を学んだ。

授業は2クラスに分かれて行われ、和歌山大学システム工学部システム工学科の大須賀秀次准教授が、最新の大型テレビやスマートフォンなどに採用されている有機EL素子の発光材料について説明。生徒たちは有機化合物を合成し、発光色の観察をした。

近畿大学生物理工学部遺伝子工学科の齋藤貴宗准教授の授業では、生命科学の研究によく使われる体長1㍉ほどの線虫を、顕微鏡を使って解剖。遺伝の本体である減数分裂について学んだ。

ナイル・ホートンさん(15)は「イギリスでは座学がほとんどで、実験をする機会があまりないので楽しい」と笑顔。島田彩名さん(16)は「科学に関する英語を知らないので伝えるのが難しい」と、簡単な単語とゼスチャーを交え、一生懸命にコミュニケーションを取っていた。

SSH推進部部長の谷地祐介教諭は「普通の英語と違い、サイエンス英語は難しいが、イギリスの生徒と一緒に学ぶことで、科学コミュニケーション能力を高める機会になった」と話していた。

この日は「科学でおもてなし」と題した交流会も開かれ、生徒らは人工イクラを使ったすし、和紙やスライムづくりなど、科学的な内容を絡めて日本の文化を紹介した。