大躍進で全国制覇 小学生陸上の森木香湖さん
和歌山県紀美野町の陸上クラブ、のかみACに所属する野上小学校6年、森木香湖選手(12)は「第40回全国小学生陸上競技交流大会」の女子コンバインドB種目(走り幅跳びとジャベリックボール投げの混成)を制し、日本一に輝いた。県内選手による同大会個人競技の優勝は2001年以来、23年ぶりの快挙。のかみACの選手では01年のクラブ発足以降、初となった。
同種目は5、6年生を対象に各都道府県予選を勝ち抜いた計47人で競った。森木選手は昨年の同大会34位から、大躍進でつかみ取った日本一だった。
羽の付いた約140㌘のロケット型のボールを投げて飛距離を競うジャベリックボール投げでは自己ベストを更新する52㍍09で全体3位。走り幅跳びは4㍍40で全体5位と大舞台でも安定した記録を出し、総合成績で優勝した。
昨年の同大会ではジャベリックボール投げで39㍍35。走り幅跳びで3㍍70。思うように記録を出せず、「来年は絶対に優勝する」と決意。三段跳びで国体出場経験があり、クラブ創設者の中屋多加志コーチ(67)、投てき経験のある井上昂輔コーチ(25)と共に日本一を目指した。
走り幅跳びでは速い助走、力強い踏み切り、腕を使った空中姿勢、膝を伸ばした着地に注力。中屋コーチは「この1年間で踏み切りと着地が特に成長した」と評価する。
ジャベリックボール投げでは、投げる瞬間に助走の勢いを手の指先に伝えるために、下半身からひねり、むちのようにしならせる体の使い方の習得に励んだ。
体も成長したことから順調に記録を伸ばし、全国大会直前の記録会では両種目で自己ベストを更新。「練習どおりに緊張せず力を出せば優勝できる」という自信があった。
全国大会では多少の緊張はしたものの、昨年に比べ落ち着いてプレーできた。駆け付けた中屋コーチのアドバイスも背中を押した。念願の日本一をつかみ、「不安はあったけど1位になれてうれしい。2人がいなかったら優勝は難しかった」と笑顔を見せる。
5年生男子100㍍では、紀の国ACの南方翔選手が6位に入賞した。
「オリンピックに出たい」――。全国制覇を成し遂げた森木選手の目は世界を見据えている。中学では走り幅跳びを中心に取り組む予定だ。中屋コーチは「素直で理解が早く、しっかりと実行できる」と評価。「もっと助走のスピードが上がれば、さらに記録は伸びる」と期待を寄せる。
全国女王は真っすぐな瞳で「良い記録を出せたらめっちゃうれしくて、次はもっと良い記録を出したいと思える」と貪欲。小学生日本一は通過点に過ぎない。