白浜空港を「特定利用」に 県が受け入れを表明

特定利用空港について話す岸本知事
特定利用空港について話す岸本知事

熊野白浜リゾート空港(白浜町)について岸本周平知事は8日、自衛隊、海上保安庁による施設の円滑な利用を調整する枠組みを持つ「特定利用空港」とすることに向け、国からの依頼を受け入れる意向を表明した。指定は本年度末ごろを見込み、岸本知事は「災害時の迅速な住民の避難、救援部隊の効率的な派遣、航空機による避難経路の確保などが実現しやすくなる」と期待を示した。

特定利用空港・港湾の指定は、2022年12月に閣議決定された国家安全保障戦略に基づく「総合的な防衛体制の強化のための公共インフラ整備」の一環。指定された空港・港湾では、民生利用を主としつつ、平時から自衛隊、海上保安庁の艦船、航空機の円滑な利用にも資するよう、関係機関が連絡・調整体制を構築する他、武力攻撃(予測)事態を除く緊急性が高い場合には、柔軟かつ迅速に施設の利用を図るよう努めるなどとされている。

これまでに九州・沖縄、四国、北海道を中心に8空港、20港湾が指定されており、本州では福井県の敦賀港のみ。

熊野白浜リゾート空港については、昨年12月24日付で国から、「円滑な利用に関する枠組み」の構築について、関係省庁と県の間で確認事項の依頼があり、県は内容の確認、受け入れを決めた。

県は、南海トラフ巨大地震などの大規模災害に備え、自衛隊、海上保安庁とより緊密な関係が深まり、迅速な災害対応が可能になることを想定。さらに、大型旅客機の運航に向けて滑走路の延伸を目指している県の取り組みへのプラス効果も期待している。

特定利用空港・港湾は、武力攻撃事態のような有事の利用を対象とはせず、新たな自衛隊の基地や駐屯地の設置などを目的とするものではないとされており、平時の訓練利用などは年に数回程度を想定している。枠組みは関係省庁と空港・港湾管理者(県)との間に設けるものであり、米軍が参加することはない。

岸本知事は「緊急事態、武力攻撃事態を想定しているわけではないので、そうした誤解だけはないよう、県民に丁寧に説明していきたい」と話した。