和歌山市長賞に中出さん いのち支えるポスター

市長賞に選ばれた中出さんと受賞作品
市長賞に選ばれた中出さんと受賞作品

地域自殺対策強化事業の一環として和歌山市が実施している「いのち支えるポスターコンクール」の2024年度入賞者が決まり、最優秀の市長賞に市立和歌山高校2年の中出綾香さん(17)の作品が選ばれた。表彰式は1月30日、市役所で行われ、入賞者に賞状と記念品が贈られた。

自殺の多くは追い込まれた末に起こっており、社会全体で考える必要がある課題であることから、市は自殺を身近な問題として市民に捉えてもらうため、10年度から、命の尊さや人とのつながりの大切さをテーマにポスターを募集。

本年度は92点の応募があり、市美育協会会員の井谷正人さんを委員長とする審査委員会で、市長賞の他、小学生以下、中学生、高校生、一般の4部門の優秀賞各1点と佳作5点を決定した。

中出さんの作品は、パジャマを着てソファーで涙を流す人物と、隣に寄り添って座り、手を差し伸べて優しいまなざしを向ける人物を描き、「あなたに寄り添う人はきっととなりにいる。」「もう大丈夫だよ。」との言葉を添えている。

中出さんは、誰かに寄り添える作品にしたいと、温かみのある色合い、やわらかな表現などを試行錯誤。夜の光景を選んだ理由を「ネガティブになりがちな時間なので、そういうときに思い出してもらえる作品にしたかった」と語り、「ポスターを見て、支える人が増えるようになればうれしい」と話していた。

作品は25年度の市の自殺対策啓発ポスターに使用され、市内各所に配布、掲示される。

表彰式では、尾花正啓市長が「SOSを出すことの大切さや、支えてくれる人の存在、人とのつながりの大切さについての思いが、どの作品にも共通して込められている」と入賞者をたたえるメッセージを寄せ、佐藤哲也副市長が一人ひとりを表彰した。

優秀賞、佳作は次の皆さん。

【優秀賞】小学生以下の部=嶋藤慧(鷺森幼)▽中学生の部=坂本瑞姫(桐蔭中3年)▽高校生の部=古賀未侑(市和歌山高2年)▽一般の部=石井亨(81)

【佳作】上原千佳(野崎幼)▽小野莉歩(藤戸台小2年)▽西居ありさ(伏虎義務教育学校4年)▽河端木路(日進中2年)▽嶋里恵(43)