高齢者虐待の通報456件 県内23年度

2023年度に和歌山県内30市町村で受け付けた高齢者虐待に関する相談・通報は456件(前年度391件)、虐待と判断された事例は231件(同194件)、虐待を受けた人は246人(同203人)で、いずれも増加したことが県のまとめで分かった。

相談・通報のうち養介護施設従事者等による虐待に関するものは47件で、虐待と判断された事例は17件、虐待を受けた人は26人だった。

虐待と判断された事例の種別は、身体的虐待が17人、言葉などによる心理的虐待が5人、性的虐待が3人、預金を勝手に使うなどの経済的虐待が2人。性別は女性21人、男性5人で、要介護状態は3以上が全体の76・9%を占めた。

養護者による虐待の相談・通報は409件で、うち虐待と判断されたのが214件、220人が虐待を受けていた。

虐待と判断された事例の種別(複数回答)は、身体的虐待が69・1%(152人)で最も多く、心理的虐待が30・0%(66人)、経済的虐待が15・9%(35人)、介護などの放棄が9・1%(20人)だった。

虐待の深刻度は、4段階評価で2番目に軽い「中度」が最多の35・0%で、次いで最も軽い「軽度」が28・6%、2番目に重い「重度」が16・4%、最も重い「最重度」が2・3%で続いた。

虐待を受けた高齢者の73・6%を女性が占め、要介護認定者は半数強の58・2%、年齢別では80~84歳が25・0%で最も多かった。

虐待をした人の高齢者との関係は、息子が38・0%で最も多く、次いで夫が26・6%、娘が14・4%の順。高齢者と同居しているケースが85・4%に上った。

家族構成は、夫婦のみ世帯が33・2%と最も多く、未婚の子と同居が30・5%、配偶者と離別・死別等した子と同居、単独世帯が各10・5%で続いた。

虐待への対応は、34・5%で虐待者から高齢者を分離する措置をとった。

虐待の防止、対応に向けた市町村の体制整備の状況は、対応マニュアルや業務指針などの活用は全市町村が実施し、日常生活に支障がありながら福祉や保健医療サービスを利用していない高齢者の早期発見の取り組みや相談の実施など、90%以上の高い実施率の項目がある一方、行政機関や法律関係者、医療機関などからなる「関係専門機関介入支援ネットワーク」の構築への取り組み(36・7%)などは低い割合にとどまっている。